おおふり

□カムバック恋心
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「あ、」
「何でいんの、おまえ」
「あんたこそ」


なんとまあ偶然。今日は午後から先生方の会議とやらで授業は午前で終わり。で、折角だし昼ご飯友達と食べに行って、3時電で帰ってきて待合室で中々来ない迎えを待っていた(雨降ってるから)。そしたら反対方向から電車がきて誰もいないよなあっと期待薄でいたら、ばったり出会った泉孝介。他の高校は普通に授業あるはずだし今は試験の時期でもない。てゆーかまず泉って電車通じゃなかった気がするんですが。お互いなんでいるんだと目をぱちくりさせて、あたしは理由を説明した。

なんちゅー楽な学校だよ、と言う泉自身は遠足だったらしい。人のこと言えないと思うけどあたしも同意見だから突っ込まないでおく。にしても、久しぶりだなあ。中学卒業して今高2だから…一年くらい顔合わしてなかったのか。時間経つのって早いねえ(しみじみ)。


「お前本当変わんねえのな」
「ふん、お互い様じゃん」

斜め向かいに座る泉とは中学の頃見事に三年間同じクラスで、しょっちゅう憎まれ口叩いてて、なんて言うんだろ…あぁ、いいケンカ相手だった。だけどあたしの中で泉はケンカ相手じゃ収まらなくて、実は今も心臓がドキ言ってたりする。でも恋心なんて卒業式前に捨てた。学年一かわいいと言われる女の子に告られたと聞いたから。なんて応えたかは知らないけど、断る理由なんてないだろうし、どこか気まずいまま卒業したんだっけ。


「ったく少しは直せよな、その憎まれ口調」
「余計なお世話ですー」

そんなんじゃモテねーぞ、とバカにしてくる泉にそっくりそのまま言葉を返してやりたかった。でも実際モテはするんだよね、この人。けど男なら女の子に優しくしないと!…いや、泉は中学の頃から優しいけど、あたしに対しては違うスイッチ入ってるんだよ。くそうっ、負けないかんね!

つーか…帰んないんですか?二人っきりというこのシチュに、捨てたハズの恋心が戻りそうな程心臓うるさいんですよ。


「どーせ泉はモッテモテなんでしょー」
「まあなー」
「(こんの!認めてるし…!)」
「でもまぁ、あんまりお前がモテねーんなら、」

悪戯な子供みたいな笑顔を見せる泉に不覚にも見惚れてしまった。








カムバック恋心
(もらってやってもいーけど?)



080603
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意地張ってしまうのです、わたしが(え)そして短い。

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