短編2

□星屑ロマンス4
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「だ、大丈夫?」
「やっぱ重めぇ」
「な、日番谷!」
「うそ。怪我ねえな?」




近寄りにくい、とか言って女子部員の中では話掛けにくい人も結構いるみたいだけど、あたしはまだ喋る方で。それでも日番谷は今日みたいにふざけて会話すること無かったから新しい発見って言うか…楽しい。なんだろうね、この感じ。
こんなに心臓うるさいの初めてだ。

地面に落ちている懐中電灯を拾い上げた日番谷。肝試しを始めたときよりは確実にかっこよく見える…てか、キラキラしてる。やっぱあれかな。あれしかないよね。



「いつまで座ってんだ、行くぜ」


驚くかな、あたしも驚いたよ。でもこのドキは知ってるから間違いじゃないっていうのは分かる。


「おい、聞いてんの―」
「日番谷!」
「あんだよ(ん…?)」
「あたしあんたのことす…むぐっ!?」
「静かにしろ」

口元を掌で覆われて小さく囁かれた。
え、なにあたしの言葉聞こえてない?てか、全部言えてないしね!ねえ、日番谷、あんたはあたしほっぽいてどこ行くの。

草むらに向かって何か怒鳴って、やっぱり受け止めたとき頭でも打ったかな…なんて思っていると人影が増えて日番谷は戻ってきた。は、あれってキャプテンカップル!?



「ちょ何でいるんですか!てか、隠れてましたよね!」
「あの縄、こいつらが仕組んだんだ」
「(こいつらって…俺ら先輩なんスけどねぇ)」


話を聞くと日番谷の言う通り、この罠はキャプテン達(その他部員数名)が仕掛けて、いつまで待ってもあたし達が神社に来ないから様子を見に来たのだと言う。
出れたから良かったけど、どうせならもう少し早く来て下さいよ。


「おい、日番谷言ったのかよ」
「あ?うざいんスけど絡まないで下さい」
「そこ!遊んでないで戻るよ!」
「へーい(俺まで怒られちまったじゃやねーか)」
「(俺のせいかよ)」



このカップル見てるとよく思うけど、麻智さん(彼女さんね)って強い。頭上がんないんだろーな、キャプテン。部活内には絶対私情持ち込まないし、かっこいーんだよね。
(あ、そうだ)
皆が待っている神社に向かおうとコースに戻る三人の後ろを歩く。キャプテン達の数歩後ろを着いて行く日番谷の手首を取ったら、もの凄い勢いで振り向かれた(驚かしたか)。視界の隅で麻智さんがキャプテンの襟を掴んで引っ張っていくのが見えて麻智さんに感謝した。


「…なんだよ」
「あたし日番谷のこと好き」

…あれ、黙り込んじゃった。と思ったらわしゃわしゃと髪を乱された。は、もうなに!また聞こえてないとかないよね!うわ、恥ずかし。

「俺、部活に集中したいんだ」
「(あ、まじで)」
「忙しくてあんま構ってやれねえかもしれねーけど、部活の次でもいいなら」
「え」


差し出された掌はどういう意味なのか。そんなの答えは簡単で、直ぐに手を取った。
きっと日番谷は照れ屋だから、直球で言うのが恥ずかしかったんだと思う(あたしとは正反対だ)。だから、握り返した瞬間に進行方向向いてスタスタ歩き出したんだもの。


それに、部活に夢中になるのは構わない。だって、何かに一生懸命な人って本当にかっこいいから。
だから知らぬ間に惹かれていたのかもしれない。




皆には理解不能な、麻智さんがよく言っていた言葉の意味が漸く分かった気がする。










星屑ロマンス4
(だってアイツ、きらきらしてるから)(だから大好きなことの邪魔したくないの)




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(081207)
大好きなこと=バスケ
バスケしてるときはきらきら度MAXさ^^

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