じゅんがーる!

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「ここら辺、かな」


久しぶりに訪れた現世は何も変わらない、住人は平和に暮らしている。わたし達が虚と戦っているなんて知る筈もなく、笑い、悩み、怒り日々似たような輪廻を繰り返している。
でもそれはわたし達死神にも同じことが言える。だから刺激を欲してしまうのはきっと無意識で必要なものだと思いたい。だって変わらない日常なんて、てんでつまらないじゃない。だけど今は少なからず変化が起きている。原因はこの感情。
(なんであんなこと…)
日番谷隊長が執務室を出た後、暫く考えた。でもわたしに心を読む力なんてないし、結果返事を伝えようと答えを導いた。

わたしが彼の立場だったら、なんで修兵さんと付き合っていることを聞いたか、それは。


「沖野くんって虚退治よく行くの?」
「はい、何度か」


それは、相手を好きだから。
わたしだって気になる。日番谷隊長が想っているのは誰なのか。




「っと、来たよ。構えて」
「はい」

いけない、今はこっちに集中しなきゃ。これでヘマして帰ってきたら二度と虚退治いけない、ううん、行っちゃいけない気がする。

現れた二体の虚はわたし達死神を見つけると嬉しそうにこちらに標準を合わせてきた。斬魄刀は解放することなく、鬼道と剣術のみで戦う。一体ずつ担当しわたしは目の前の虚に集中した。





「片付いたみたいね」
「はい、っ三席怪我を!」
「大丈夫大丈夫!ここ来るまでにこけただけ」

腕を擦っているのに直ぐ気付いて、わたしの返事によかったと安心する沖野くんは本当に素直な子だと思った。子なんて言ったら失礼かな。多分あんまり年変わらないのよね。
それにしても折角無傷で虚倒したって言うのに、こけるとか…どんだけドジなの、わたし(悲しくなってきた)。

「さて、帰りましょか」
「はい」




尸魂界に戻って報告を済ませる。お疲れ様、と沖野くんに挨拶したあと執務室へと戻った。中には、お昼寝中の日番谷隊長と饅頭を頬張る乱菊さんの二人の姿。そっか、もう昼過ぎだもんね(乱菊さん曰く、寝る子は育つを実践しているらしい)。
おかえり、と声を掛けてくれた乱菊さんと今回の虚退治の話をして、お疲れ様と蕎麦饅頭をくれた。そのとき、視線が腕にいったのに気がついて慌てて袖で隠した。


「えっと、虚倒した後にこけちゃって」
「そんな顔しなくても信じるわよ、信用なさい」
「あ…」
「それより、隊長が寝ている間にちゃんと手当てしなさいよ」


心配で心配で仕事に手がつかなくなっちょうでしょ。
そう続けて乱菊さんは、にっと笑った。乱菊さんに言われるまで自覚ないなんて…きっと大きな広告板のような顔をしていたんだろう。それに隠す必要なんてないのに。正直に言えば良かった、失礼なことしちゃったもの。


「じゃぁ奥で手当てしてきますね」

四番隊に行く程の傷じゃないから、治療道具のある個室へと向かった。その間に、乱菊さんと寝ている筈の日番谷隊長が話してたなんて思いもしないで。










さぁ行け女戦士
(…余計なこと言ってんじゃねえ、松本)
(あら?起きてたんですか?隊長)
(テメェ…わざとだな)




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(090701)
途中で起きました、日番谷隊長。


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