短夢終日

□日常茶飯事
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日常茶飯事









「……―」

…うーん……




「…い、…―…」

…誰よ……まだ眠い、もう少しだけ…






「おい、こら。起きねーとチューするぞ」
「っ!?」
「ちっ、起きたか」
「と、冬獅郎!?」

バチッと音が聞こえそうな程勢いよく目を開けば、目の前には隣に住む、冬獅郎の顔。
それはそれは至近距離で、息が掛る程(わぁお)。いつもの事だけどっ、近い過ぎる!


「な、なななに上乗ってんの!」
「何って…起きねーからチューしようかと」


驚くあたしをよそに平然とそう言い、更に顔を近付けてくる。なんでチューとかそんな恥ずかしげもなく…じゃなくて。


「ちょ、っぎゃぁあ――ふが!」
「バカ!声でけえんだよ」
「〜〜ふ、ふぁなひへ」


悲鳴に近い叫び声を上げようとしたら手で口を覆われた。
声を上げるのを止めると手を離してくれたけど冬獅郎が悪いんだからね!って言うかあたしに乗ったままなんですが(退け)。


「さっさと着替えろ。遅刻するぜ」
「えっ!!って、うわ。やばっ」


寝転んだ状態で側の時計に目をやれば、今すぐ準備しなければ遅刻確定の時刻。つーか、着替えろって言われても君が乗ってたら着替えらんないって。



「…あのさ、どいてくんない?」
「や・だ。俺が着替えさせてやるよ」


言い終えるか否や、慣れた手付きで器用に片手でパジャマのボタンを外していく。こらこらこら!
変態!って力いっぱい体を突き飛ばしてあたしの上から、ベットから、落としてやった。ざまーみろ、ふふん。


「冬獅郎やり過ぎ!」
「てめ…俺にこんな事していーのかよ?」


ジリジリとまだベットの上にいるあたしを壁に追いやる冬獅郎。

「ど、どういう意味よっ」
「嬉しいんだろ?本当は。お前マゾだもんな。もういじめてやんねーぞ?」


んなっ何言い出すのよっ!仮にあたしがMだとしたら、冬獅郎は根っからのドSじゃない!
この口端を上げた笑みが憎たらしくて、ばかにされているのがよく分かる。


「何ハズい事言ってんの!遅刻するよっ」
「照れてんじゃねえよ、ばーか」
「照れてないっ退いてってば!」

最近の冬獅郎はいつもこんな感じだ。正直照れる…冬獅郎の顔凄く整ってて綺麗だし、なによりこんなに近付いて話されたら誰だって顔赤くなるでしょ。



「…しゃーねえな」

ギッ…と立ち上がりベットから離れる冬獅郎。や、やっと退いてくれた…。安心して力が抜けた、その瞬間…

「…おい」
「?―っわ!」

「んじゃ、下で待ってっから早く来いよ」


―〜〜油断したっ!何が、起きないとチューするよ!
呆然とするあたしをよそに、冬獅郎は静かにドアを閉め、階段を降りていった。

この――っ


「変態エロ魔王が!!!!」

見えなくなった背中(ドア)に枕を投げ付けた。







ふたりでひとり?
(ピンクのレースか。ふん、色気づきやがって)




07.07.01〜12.03
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ちょっと続きます、よ。
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