捧げ物小説

□一歩前進?
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「日番谷くんっ」









放課後、教室に一人残る一匹狼こと日番谷冬獅郎。
日番谷くんも私も帰宅部で、まぁ私は先生に呼び出されて残ってたんだけど(課題提出してなかった)。教室にいる日番谷くんを見てチャンスと思った瞬間私は彼を呼んでいた。


「あの、友達になって下さい!」
「嫌だ」

くっ即答!!人が少ない勇気振り絞って…いやいや、日番谷くんは仲良くならない内はこういう人だから。分かっていて好きになったんだから!めげないもんねー!


「なんで嫌なの」
「お前に興味ないから」
「(くそぅ…!)」
「大体なんで俺なんだ。他に―」
「好きだから!日番谷くんが好きだから」


気付けばそう叫んでいた。自分の頬は次第に赤くなっていくのに、日番谷くんは私の決死の告白にも動じず(というより眉間の皺が増えた)、ただ不機嫌さが増したような気がする。
あんまり感情を表に出さない日番谷くんは三ヶ月以上経ってもクラスメートと馴れ合わないでいた。先輩には生意気とか言う人がいるけど、何が生意気なのか私には全く理解出来ない。

「…どーせお前も他の奴らと同じだろ」
「え?(告白は無視!?)」
「外しか見てねえだろーが。まぁ別にいいけど」

外しかみてないって…だから友達になって、って言ってるのに!当然中身も知りたいもんね。夢抱いて散っていくなんてバカじゃん。中身を知った上でもっと好きの気持ち大きくするんだから!
それに、いきなり付き合ってとか言ってそう言われるなら仕方ないけど、なんかムカつくなあ!


「一ヶ月!」
「は?」
「一ヶ月で私が他の人達と違うことちゃんと証明する!」
「…勝手に言ってろ。俺は帰る」

あーぁ!もう一匹狼めっ!なんであんな奴好きになったかなあ。
ばいばいって言ってもなんの反応も示さないし。咄嗟にあんな事言っちゃったけど大丈夫かなあ…。冷静に考えるととんでもないことばっか言ってしまったような(好きとかどーとか)。日番谷くんは相手にしてないし…いーもんね!ぜーったい外見目当ての人と違うって証明してやる!なんか趣旨変わってきたけど気にしない、うん。





日番谷くんの好きな卵巻き作ってきたり(私の情報網を甘くみてもらっちゃ困る)、なるべく話しかけて纏わり付いたり(うざがられた)しても、証明出来ているかは謎。
特に態度変わらないし、お前呼ばわりのまま。最初に興味ないって言われたけど本当に好みに掠りもしないのかな。そんなのもう…いやいや、弱気は駄目!諦めるなんてらしくない。砕けまくってやるんだから!


「日番谷くん!」
「またお前かよ」
「ちゃんと他の人と違うって分かってくれた?」
「いーや、さっぱり」

はぁ…だよねえ。証明って何よ。何すればいいのさ。自分で言っといてなんだそれって感じ。

約束(はしてない)の一ヶ月まであと数日。はて、どうしたものか。そんなこと考えながら屋上から外を見下ろせば、部活に励む人や友達と楽しそうな笑みを見せて帰る人。んー私も帰ろうかなあ。
っと、誰か来た。



「なぁ、一年の日番谷って知ってるか?」
「あーあの銀髪のチビね」

一年の日番谷、銀髪にチビ…。うちの学校で日番谷なんて苗字も銀色の髪も、彼しかいない(おまけにチビときた)(確かに小柄だけど)。何の話だろうと先輩たちの会話に耳をすませば本当に面白くない話で。
なになに、チビのくせに態度はでかいわ、最近女といちゃついてるわ、ガンつけてくるわ、って訳でしめるかって?
えーと、順番に考えよう。態度は、でかいって言うよりまぁあーゆう性格だし反感は買うと思う。女ってのは…もしかして私?いちゃついてるように見えたんだ…はは。ガンつけてるんじゃなくて目つき悪いだけ、うん。最後にしめる。これはつまり、しめる、呼び出し、暴力……だめだめだめ!






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