☆文章☆

□●家族の絆●
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きってその身を彼に託す。ぎゅっとセイロンは愛しい人を抱いて、髪を撫でた。

「ありがとう。」

「いやいや、礼には及ばんよ。だが店主殿がどうしてもというのであれば…。」

ぐぐっとセイロンの顔がフェアの鼻先に近付いた。

「な、何??」


「いや、礼の接吻を期待したのだがな…店主殿には早過ぎたか。」

扇で口元を隠してそう茶化すセイロンに、真っ赤な顔で枕を叩きつけるフェア。

もう、こんな元気づけ方なしだよ…。

彼女の、笑顔を含んだ呆れた顔に悲しみが残っていない事を確認したセイロンは、フェアの手をきちんと力強く握った。

「フェア…。」

「…!」
額に軽く口付けをして、セイロンは立ち上がる。フェアは呆然と、彼のまなざしに釘付けになっていた。

「大人になるまで待つのも…また一興。そう思わぬか?」

高らかに笑い、セイロンはフェアの部屋を後にする。
取り残されたのは、やり場のない照れと嬉しさで顔を赤らめるフェア。


大人になったら…どうなるの???

その答えはいつか訪れるであろう、かけがえのないこの家で話されるはずだ。そう、近いうちに…………。
〜fin〜
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