☆文章☆
□●憑依物語り●
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見習い召喚師トリス。
彼女の悲惨な出来事が始まった。
「だあああああっ!!!!」
ゆったりとした朝方。ギブソン、ミモザ邸から子供の悲鳴が鳴り響く。トリスの護衛獣、バルレルのものであった。
慌てて仲間達はトリスの部屋へ駆けてゆき、ドアを乱暴に開けた。
「何だ!?大丈夫か!?」
ルヴァイド達の襲撃か、何にしても良い予感はしなかったものの、ドアを開けたネスティは、大事な妹弟子の安否を確認する。
「…ん〜ふぁ…。何よバルレル。またベットからおっこちたの?」
青ざめて、床にヘタリと座りながら呆然としているバルレルへ軽く笑うトリス。
外見がいつものトリスではなかった。そんなこと百も承知でトリスを見つめて仲間達はシンクロする。
―――――何故トリスの頭に猫耳が…???
「め、メガネ!何とかしやがれ!!」
バルレルの言葉にネスティは身をすくませる。
そう、そこにいた全員が気付いた。
気付いていないうえ、無頓着なのは当の本人。
「みんなどうしたの?あ、アメルおはよう。朝ご飯なぁに??」
ネスティの隣りできょとんとしていたアメルは、やっとのことで口をを開く。
「トリス…みみ…。」
「へ?!」
そこまで聞けば、ちょっとは自分のどこかおかしいと気付けるはず…だが。
「今日パンのみみ?珍しい〜!!どんな料理?」
ずるっ。
その場にいた彼女以外の肩が落ちる。
に、にぶい…。
何もリアクションのとれないヘタレ兄弟子を放っておき、前に出たのはケイナ姐さん。
「トリス?ほら、見なさい。」
裏の有りそうな笑みを浮かべる姐さん。
サッと取り出したのは、大きな手鏡。どこから出したんだ、というツッコミが誰も出来ないのは言うまでもない。
一方、鏡を見つめるトリスはしばらくして一息ついた。その場が緊張に包まれ、そして――――――――――――――――「いやああああああああああああぁっ!!!!」
ギブソン、ミモザ邸が震える程の悲鳴をあげて、トリスは自分の頭についている…猫耳を、触りながら混乱に陥る。
やっとの事で動きに入るネスティは、うろたえながらトリスを落ち着かせようとした。
「トリス落ち着くんだ!」
「猫が頭に耳をなっててなんで!!!???」
「わけが分からないぞ!?」
さすがヘタレ兄弟子。