☆文章☆

□●家族の絆●
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闇夜に包まれた宿は静かに朝を待つ。
だが、ある部屋に一人いつまでも寝つけずに寝返りばかりを繰り返す少女がいた。
大人と同様の生活をするフェア。彼女は今の宿の状態に少し興奮を感じていた。たくさんの人と異世界の者達が家族の様に暮らすこの状態を。

ずっと…この屋根の下には、私一人だと思ってた。だけど…たくさん家族がいるっていいな…。

だが、同時にいつかは失うのだと理解する。


このままみんなが笑顔で暮らせていければ…。
そう、もう一人で部屋にうずくまって…怖くてたまらない夜なんか過ごしたくない。


「一人は嫌なの。」

「何を今更。」

上品な男の声で、フェアは飛び起きた。

誰もいないはずの部屋の入口に角を生やした龍人がたたずむ。

「セイロン!びっくりしたじゃない。もぉ…。」

「ノックしたのだがな。まぁ、我が様子を見に来たのだから光栄に思うがよい。」

あっはっはっと高笑いするセイロンにフェアは呆れた調子で溜め息をつく。
高飛車な態度ではあるが、決して自己中心的でない彼は、人の心をよく読める。だから思ったのだろう。
フェアが不安に感じていると。
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