ギアス短編2

□冬の甘色、幸せの温もり
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「早く帰らないと、ミレイさんに怒られるよね…」


外を物憂げに眺めながら、スザクはなんとも言えない顔をした。

スザクの気持ちは嫌と言うほどわかる。


外には出たくない。
でもミレイに怒られるのは怖いから外に出ないといけない。


何とも言えないこの気持ち。




ルルーシュは小さく溜息を漏らした。









と、そんな時。

不意に強い目線を感じてルルーシュはその視線のほうに振り向いた。



そこにいたのはルルーシュたちを睨む店員の姿。



どうやら何も買わず、ただ体を温めている二人の存在が気に入らないらしい。




その視線にスザクも気づいたのか、気まずそうな顔をした。


ルルーシュだけなら無視をしたかもしれない。
いや、確実にしただろう。

でもスザクが気づいてしまえば、もうそれは無理だ。

スザクは人が良い。

だから、こんな目線を向けられてしまえば気を使ってしまうのだ。


「ルルーシュ、もう出よっか」


予想通り、スザクは気まずそうな顔をしながらルルーシュを促した。


でも、ここで外に出ればまた寒さに身を振るわせるだけ。



それは何としても避けたいことだった。





そこでふと思いつく。

「せめて何か買って帰ろう」

そう、せめて暖かいものを買って帰れば、あの寒さにも耐えれるかもしれない。

ルルーシュはそう考えたのだ。



その提案に、スザクの目が輝く。

「暖かいもの?」

確かめるように、ルルーシュに問い掛けてきた。

「うん」

ルルーシュが頷いてやれば、スザクはさらに目を輝かせた。
そして、目を輝かせながらある物を指差した。

「あれ、買って帰ろう!」

スザクが指差したのは。

「肉まん?」


温かそうな湯気に身を包んだ、肉まんだった。




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