ギアス短編2

□目覚め、空の彼方へと還る
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君は『眠れ』と命じたね

優しい世界になるその日まで、と


だから僕は眠り続ける


その日が来るまで


『その日』が来るまで














『目覚め、空の彼方へと還る』










「ゼロ」

赤髪の少女が目の前に立つ仮面の男を呼んだ。


その声に空を眺めていた仮面の男は、少女へと振り返る。


「何だ」


硬質な声に一瞬、竦み上がりながらも少女は言葉を紡ぐ。


「コーネリアとシュナイゼルの軍隊は、鎮圧できたって報告があった。…後は、ブリタニア皇帝だけです」


少女からの報告に、ゼロは小さく頷いた。





これで、最後になる。

赤髪の少女、カレンは息を飲んだ。



最初は小さなレジスタンスだった。

でも、ついにここまで来た。



日本を、開放できるまでに。






それも偏に、ゼロのお陰だった。


そんなゼロをカレンは甚く尊敬していた。





でも、不意に思ったことがあった。



「ゼロ…最後だから、聞いてもいいですか?」


カレンは思い切って自分の疑問をぶつけてみることにした。


「…何だ」

暫らくの沈黙の後、ゼロからの答えがあった。

カレンはもう一度息を呑み、徐に口を開いた。




「ゼロ…貴方は、ある日を境に変わった気がするんです」


その言葉に、ゼロの肩が一瞬震えた気がした。


でも質問に必死になっていたカレンは気づかない。



「前までは、どっちかというと前線に立つ人じゃなかったのに…。でも、いつからか貴方は変わった。あの…悪夢の日から」


そこまで言って、カレンは言葉を切る。

甦ったのは『悪夢の日』と呼ばれる、自分たちにとって最悪の日のこと。




『目覚め、空の彼方へと還る 〜独白〜』



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