ギアス短編2

□目覚め、空の彼方へと還る
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今はただ、眠っていよう。

君が望んだ、

君が命じた、


『平和な世界』となるその日まで。















「行こうか」

空を眺めていたゼロが、不意にそう呟いた。

カレンはそれに慌てて頷く。



そう、今から始まるのだ。


最後の決戦が。




























雲ひとつ無い、痛いくらい綺麗な青空の中。




鳴り響いたのは、銃声。


















今日、この日。




ゼロと黒の騎士団によって、悲しい戦争が終わった。




















「終わったんだ…」

戦争の勝利による興奮が醒めぬまま、カレンは小さく呟いた。


その声に答えるように、レジスタンスからは歓声が上がりその場は祭りの様に盛り上がった。



勝ったのだ。

ブリタニアに。




それはレジスタンス、いや日本人たちにとっては何より喜ばしく、自分たちが解放された瞬間であった。







その盛り上がりの中で、それを静かに見守る人物が居た。





「ゼロ?」


その人物を目聡く見つけ、カレンは思わず問い掛けた。


でも、ゼロから答えは返ってこない。




彼はただ、決戦の前と同じく空を眺めていた。


まだ何か、求めているように。




突然カレンは不安になる。



ゼロが、
ゼロが消えてしまいそうで怖かった。





「ゼロ!!」


だからカレンは声を張り上げてゼロの名を呼んだ。



その声にゼロはゆっくりとカレンに焦点を合わす。




それにカレンがほっとしたのも束の間。

ゼロがゆっくりと口を開いた。





「ゼロは…もうどこにも居ない」





「え?」




カレンは意味がわからず、気の抜けた声を漏らす。


でもゼロはそんなことを気にした風はなく、徐に仮面に手を掛けた。



「ぜ、ろ…?」


ゆっくりと、剥がされていく仮面。


皆が知りたくて仕方なかった、ゼロの正体。


カレンは無意識に息を呑んだ。












その頃、

一人の少女が戦場に立っていた。




「本当に、終わったのだな」


戦争が終わったその瞬間。

晴れ渡った空を眺めながらc.c.は呟いた。



まるで、誰かに話しかけるように。


でもそれに答えるものは居ない。




それは、空の彼方に居るのだから。










「これからどうするんだ、枢木スザク」


そして、c.c.は今この空を眺めているであろう者に、言葉を送る。

それはあの空の彼方に居る者と同じく、届くことは無いけれど。





『目覚め、空の彼方へと還る 〜夜明け〜』


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