ギアス短編3
□Dearest
2ページ/6ページ
+++
軍の仕事についたスザクは、今だ思い出せずに居た。
(明日って何かあったっけ?)
まだ、答えは見つからない。
一度気になってしまうと、そればかりが引っ掛かってしまうのが人間の性。
スザクもまたそうで、中々答えに行き付かずにもやもやとしていた。
(食事だったら『食事どうだ?』って誘うだろうし、勉強だって同じだよね。
…それに気になるのがあの表情。あれって特別なこととか凄く嬉しいときにしかしないんだよね。
だったら、絶対明日は特別な日なんだ。…でも思い出せない・・っ)
「あら、どうしたの?」
そんな時、突然声がかかった。
「あ…、セシルさん」
スザクが振り向くと、優しい笑顔を浮かべたセシルが居て。
不意にスザクは思い出した。
「あの、セシルさん。どうして明日お休みにしてくれたんですか?」
『明日』という言葉に引っ掛かっていたスザクとしては、『明日』休みをくれたことも気にかかった。
何故セシルが突然(無理やり脅してでも)休みをくれたのか。
スザクには不思議で、気にかかって仕方なかった。
本当にわからないといった風に首を傾げているスザクに、セシルは楽しそうに笑いながら呟いた。
「やっぱり、覚えてなかったんですね」
にっこり笑うセシルに、スザクはまだわからないといった風に首を傾げた。
そんなスザクにセシルは、『まだ気づかない?』と再び笑う。
そして、
仕方ないといった風にこそっと耳打ちした。
「スザク君。明日はね…」
―スザク君の、誕生日よ―?
「あ」
言われて初めて、思い出した。
そうだ、明日は7月10日。
スザクの…誕生日。
「そっか。誕生日なんだ」
だから。
ルルーシュが、誘ってくれたんだ。
明日、必ず来てくれと。
そう思うと心が温かくなった。
「明日はゆっくりしてきてね?」
そう言って笑うセシルに、スザクは『はい!』と元気良く返事をした。
そして、小さく呟く。
「明日は約束の日なんです」
「約束の日?」
セシルが不思議そうに首を傾げると、スザクは嬉しそうに笑った。
そんなスザクの目に浮かぶのは。
―あの日の約束。
『スザク!』
小さなルルーシュが手を振っている。
優しいあの頃。
楽しかった思い出。
昔の約束。