ギアス短編3

□Dearest
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軍の仕事についたスザクは、今だ思い出せずに居た。

(明日って何かあったっけ?)

まだ、答えは見つからない。
一度気になってしまうと、そればかりが引っ掛かってしまうのが人間の性。

スザクもまたそうで、中々答えに行き付かずにもやもやとしていた。


(食事だったら『食事どうだ?』って誘うだろうし、勉強だって同じだよね。
…それに気になるのがあの表情。あれって特別なこととか凄く嬉しいときにしかしないんだよね。
だったら、絶対明日は特別な日なんだ。…でも思い出せない・・っ)



「あら、どうしたの?」

そんな時、突然声がかかった。

「あ…、セシルさん」

スザクが振り向くと、優しい笑顔を浮かべたセシルが居て。


不意にスザクは思い出した。


「あの、セシルさん。どうして明日お休みにしてくれたんですか?」

『明日』という言葉に引っ掛かっていたスザクとしては、『明日』休みをくれたことも気にかかった。
何故セシルが突然(無理やり脅してでも)休みをくれたのか。

スザクには不思議で、気にかかって仕方なかった。


本当にわからないといった風に首を傾げているスザクに、セシルは楽しそうに笑いながら呟いた。

「やっぱり、覚えてなかったんですね」

にっこり笑うセシルに、スザクはまだわからないといった風に首を傾げた。

そんなスザクにセシルは、『まだ気づかない?』と再び笑う。


そして、
仕方ないといった風にこそっと耳打ちした。




「スザク君。明日はね…」




―スザク君の、誕生日よ―?






「あ」

言われて初めて、思い出した。


そうだ、明日は7月10日。

スザクの…誕生日。



「そっか。誕生日なんだ」

だから。

ルルーシュが、誘ってくれたんだ。
明日、必ず来てくれと。



そう思うと心が温かくなった。











「明日はゆっくりしてきてね?」

そう言って笑うセシルに、スザクは『はい!』と元気良く返事をした。
そして、小さく呟く。


「明日は約束の日なんです」

「約束の日?」

セシルが不思議そうに首を傾げると、スザクは嬉しそうに笑った。

そんなスザクの目に浮かぶのは。


―あの日の約束。






『スザク!』


小さなルルーシュが手を振っている。


優しいあの頃。

楽しかった思い出。



昔の約束。




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