ギアス短編2
□冬の甘色、幸せの温もり
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暖かくて
柔らかくて
甘くて
俺は大好きだよ
『冬の甘色、幸せの温もり』
今日はとても寒い日だった。
季節はもう冬。
葉を落とした木々を、木枯らしが揺らしていく。
「寒いね…」
寒い風に、マフラーに顔を埋めながらスザクは独り言の様に呟いた。
「そうだな…」
ルルーシュもまた、寒い風から逃れるように、マフラーに顔を埋めた。
二人は生徒会の仕事で、資材を買いに町に出ていた。
というより、ミレイに無理やり押し付けられたのだ。
『寒い中に、か弱い女の子を買い物に行かせるのか』と言われて。
そう言われてしまえば、このお人よしのスザクは『行く』と言わざるを負えなくなり。
そしてなし崩しと言うか、放って置けなかったと言うか、ルルーシュもスザクに付き合ったのだ。
「本当に、寒いな」
ルルーシュが我慢できないと言った風に、もう一度呟いた。
それにスザクも目を伏せて頷いた。
こうも寒いと、『寒い』としか言えなくなる。
『暑い』と言う日に『暑い』と言い続けるあれと同じ。
ルルーシュはもう一度、『寒い』と言葉を零した。