ギアス短編2

□黒い光
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力が欲しいか…?


世界を変える力を




だったらくれてやろう




その力を


















『黒い光』

















『スザク君…っ』


通信機越しに、悲痛なセシルの声が聞こえた。


それを聞きながら、スザクは悔しげに唇を噛んだ。




現状は黒の騎士団に囲まれ、身動きすら取れない状態。

しかもランスロットから離れているという最悪の状況。





つまりは絶体絶命、ということ。






「どうしたものかな…」

瓦礫に身を隠しながら、スザクは小さく溜息をついた。


どうしようもない現状が今ここにあり、自分はもう逃げられない。



「ここで、終わるのかな…」


不意に漏れた弱気な言葉に、スザクは必死に首を振った。


弱気になってしまえば、そこで終わりだ。


スザクは余計なことを考えないように、とここから抜け出す対策を考え始めた。





だが、





「我々もいつまでもかくれんぼをしている時間は無くてね。…死んでもらうぞ、ランスロットの騎士」


瓦礫の向こうからゼロの声が聞こえたと同時に、銃声の嵐がスザクを襲った。


「くぅ…」

何とか瓦礫に身を寄せ銃声を凌ぐが、ここもいつまで持つかわからない。





スザクの中に、最悪の考えが過ぎる。




(僕はここで死ぬのか?

こんなところで終わるのか?)



震える体。

止まる思考。






でも、


(ルルーシュ…)


不意に大事な幼馴染の顔が過ぎり、スザクははっと覚醒した。




(そうだ、終わるわけには行かない!

ルルーシュと、ナナリーを…大切な人たちが平和に暮らしていける世界をつくるためにも!!)



スザクの中で、何かがはじけた。



『そうか、おまえは世界を変える力が欲しいのか』


そんな時、後ろから不思議な声が響いた。


「誰!」

スザクは反射的に振り返り、暗がりの相手を確認した。


そこにいたのは、スザクと変わらぬ年頃の少年。

淡い翠の髪を無造作に束ね、銀の双眸の1つはその髪に隠されいた。


「だ、れ?」

さっきと同じ質問だが、声は微かに掠れた。

だが、目の前の少年はそんなことなど気にせず、さらに言葉を紡いだ。


「おまえはここで終わりたくない。そして、そのためにも力が欲しいのだろう?」


スザクの内心をすべて把握したような口ぶりに、スザクはさらに驚いた。


でも少年はやはり構わず、徐にその手を差し出した。


「なら、選ばせてやろう。僕と契約し、力を手に入れるか、ここで…死ぬか」


少年の物言いに、スザクは一瞬硬直する。

だけど。


「わかった…僕はここで終わりたくない。だから!君と契約する」


スザクは迷い無く、少年の手をとった。


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