頂き物

□百合華様より
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HONEY MY LOVER






誰もいない

2人きりの世界で

いつでも いつでも

甘い 甘い 笑顔に溶けていたい









ねぇ、今誰もいないよ?



突然、奏にそう言われて、ケヴァンは一瞬理解できずにいた。


さっきまで遊びにきていた内海も帰ったところだし、ひとみ叔母さんも買い物で出掛けている。





…あぁ。そういうことか。

でもこいつ、最近はあんまりしたくないとか言ってた…ような…



確か、口内炎…?とか。






「お前、この前痛いから嫌だとか言わなかったか?」

「もう治ってきた、かもしれない。」

「…随分と適当だな。」

「ケヴァンは、したくないの?」

「………は?」

「俺は、ちょっと最近寂しいなーって。」


「…分かった。痛かったら言えよ?」

「えへへ。歯医者さんみたいだね。」






奏の頬に手を伸ばして、そっと口付ける。

奏もケヴァンも、久々に感じるお互いの唇を、確かめ合うように。



きっと奏は痛がるだろうから…と、触れるだけのキスにしようと思っていたのに。



やっぱり、止められなくなる。



(これ以上は……やばいな)



奏はケヴァンの首に腕を絡め、キスを受けとめている。




「……いひゃい」

「…悪い…痛かったか?」

「んー……」

「ちょっと…やりすぎた」

「大丈夫だよ。…ねぇ…今度は長いやつがいい」

「平気か?」

「いいからー。」

奏にせがまれると、ケヴァンはついつい許してしまう。断れないのだ。

奏の髪に手を入れて、優しくキスをする。

手に絡む、奏の柔らかい髪の感触が心地いい。


長いの、という奏の要望に答えるように、ゆっくりと深く、味わうように…。



「……ん…」

途中、ケヴァンが目を明けると、奏が痛さに顔を歪めていた。

ケヴァンが舌を絡めると、その顔が更に苦痛を訴える。


その表情が、まるで誘っているかのようで…

ケヴァンは抑えきれなくなって、奏が痛がっているのを忘れてキスを続けた。





「……ん…ケヴァン…やっぱちょっと痛いかもー。」


「……悪い…忘れてた。」

「こんなことしてたら、ケヴァンにうつっちゃうかもね。」

「…本当は痛いんだろ。無理するな。」


「無理するな、とか言っといてー。ケヴァンが一番したがってたじゃん。」

「……うるさい」

「我慢してた?」

「………」


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