ギアス短編3

□sweet time
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可愛い
可愛い

大事な大事な子


今日はたくさん

たくさん


甘やかそう


















『sweet time』

















「お」

リヴァルは教室の端にルルーシュがいるのを見つけた。


そのルルーシュは机に肘を付いて窓の外を見ている。
また居眠りかと思ったが違うらしい。

どうやら、悩んでいるようだ。

ここは悪友として相談に乗ってやるか、とリヴァルはルルーシュに声をかけることにした。


「よ、ルルーシュ!」


声をかけると同時に肩を叩いてやると、すぐに反応が返ってきた。

「なんだ、リヴァルか」

何だとは何だ。
そう思うのだが、これはいつものこと。
リヴァルは特に突っ込みはせず、話を続けた。

「何か悩んでるだろ。ここはこのリヴァル様に相談してみろよ!」

そんなリヴァルの言葉に、ルルーシュは『無いよりかはマシか』と呟き、素直に悩みを打ち明けた。

「実はな…この頃犬が中々懐いてつれないんだ」

「犬?」

リヴァルはふと考える。
ルルーシュ、犬なんて飼ってたか?と。

「なぁ、犬って?」

疑問をそのまま口にしてみると、ルルーシュは『あぁ』と気づいたように頷いた。

「一応な…飼ってるんだ」

曖昧に濁すルルーシュに、リヴァルは訝しんだ。
でもルルーシュの目を見て、これ以上ルルーシュは何も言わないだろうと確信し、話を戻した。

「んで、その犬のことについて悩んでるわけだな?」

「あぁ」

リヴァルはルルーシュが頷いたことを確認すると、んーと考え始めた。

犬が懐いてくれない。
でも、この頃…ということは、つまり。

「前までは懐いててくれたのか?」

リヴァルが尋ねると、ルルーシュはコクリと頷いた。

その答えに、リヴァルは唸った。

前までは懐いていてくれた。
ならば、嫌われるきっかけがあったはずなんだけど。

「その犬になんかしたか?」

リヴァルは疑問をぶつけるが、ルルーシュは小さく首を左右に振る。

「あいつは多少のことでは怒らない。…のんびりしてるし」

なるほどねーとリヴァルは呟いた。
ならば、嫌われる原因を突き止めるのは諦めたほうがいいだろう。

だとしたら。


「ならさ、いっそその犬を甘やかしてみるってのはどうだ?」

「甘やかす?」

首を傾げるルルーシュを見守りながら、リヴァルはさらにアドバイスをする。

「犬だって甘やかされたら悪い気なんてしないさ。だからこれでもかってくらい甘やかしてやったらどうだ?」

リヴァルのアドバイスに、ルルーシュはなるほどと頷いた。

そんなルルーシュの様子に、リヴァルは満足そうに笑った。

これで問題は解決だ、と。




その横でルルーシュも薄っすらと笑っていた。


不吉な予感すらさせる、その笑みで。




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