ギアス短編3

□スウィート・シンドローム
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君が甘えさせてくれるなら

熱を出すのもいいかもな












『スウィート・シンドローム』












寒いな…。

そう思いながら、ルルーシュは体を震わせた。



今日は温かい日和だと言っていたのに…。
ルルーシュにはとても寒く感じられた。



「おはよう」


そんな時、スザクが声をかけてきた。


「おはよう」


ルルーシュも挨拶を返す。
そしてそれと同時にスザクのほうに振り返った。

スザクの顔が見れた。
相変わらずの、優しげな笑みを浮かべている。

それに、ルルーシュは無意識にほっと息をついた。

だがすぐに、そのスザクの表情が曇る。

「スザク?」

ルルーシュが訝しんでスザクを呼ぶと、スザクは難しい顔をしてルルーシュの顔を覗き込む。

ルルーシュは訳がわからないながらも、じっとしていた。
わざわざ動くのも億劫だったし、スザクの真剣そうな顔を見ていると、文句も言えなくなったのだ。

「ルルーシュ」

そんな時、スザクがルルーシュを呼んだ。

「何だ?」

ルルーシュもそれに答える。
そこには、心配そうに覗き込むスザク。

「スザク…?」

ルルーシュはそれに戸惑い、思わずスザクの名を呼んだ。
するとスザクは、それに答えるように口を開く。

「あのね、ルルーシュ。もしかして」

スザクは言うと同時に、そっと手を伸ばし、ルルーシュの額に手を当てた。

「熱、あるんじゃない?」

え?とルルーシュは一瞬、訳がわからず首を傾げた。

だが、すぐに思い至る。

朝からあった寒気。
そして体のダルさ。


良く考えれば、熱を出していたということがわかる。


「ほら、やっぱり熱がある」

ルルーシュの額に手を当てていたスザクが、口を尖らせながら呟いた。

「ルルーシュって、昔から自分の体調には鈍感だよね」

そう怒ったように言われ、ルルーシュは思わず苦笑した。
それはスザクにも言えたところなのだが、今は自分のほうが問題なのだから文句も言えない。

「悪かった」

だからルルーシュは素直に謝り、スザクに微笑みかけた。
それにスザクはやや呆れたようにルルーシュを見る。

だけどすぐに真剣な表情に戻り、ルルーシュに言った。

「とにかく、早く部屋に戻って休みなよ。咲世子さんには僕が連絡するから」

そう言うと同時に、スザクは携帯を取り出し、手早く咲世子さんに連絡を取った。
そして、すぐに置きっぱなしだったルルーシュの鞄を持ち、近くにいたリヴァルに声をかけた。

「リヴァル!ルルーシュ熱出してるみたいだから、部屋まで送ってくるね。先生に言っておいてくれる?」

その声にリヴァルはすぐに反応し、

「おー、任せろ!ルルーシュ、お・だ・い・じ・に〜」

そう言うと、リヴァルは元気すぎるほど手を振って、ルルーシュとスザクを見送った。

それにスザクは多少苦笑いをし、ルルーシュは怒りに肩を震わせた。
でも熱を出したままの状態では大して迫力がなく。

リヴァルは調子に乗って、笑ったままだった。

「それじゃあ、行こう」

スザクはルルーシュを気遣いながら、支えた。
そんなスザクに支えながら、ルルーシュは立つ。


「じゃあ、リヴァル。後は頼んだ」
「了解ー」

そんなリヴァルに見送られ、ルルーシュとスザクはクラブハウスのほうへと向かった。




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