ギアス短編3
□憎しみは永遠の愛にも似て
1ページ/12ページ
ずっと昔
悪魔や天使が信じられていた頃
黒き森に、『黒の皇子』と呼ばれるものが居た
その男は、美しき孤高のヴァンパイア
人の血を吸い生きるもの
―人々はそんなヴァンパイアを恐れた
生き血を吸い、人の命を奪う人外のものを…
だからこそ、人々は恐れをなし、生贄を捧げることを決めた
…故郷を守る為に
…自分を守る為に
生贄を捧げ、『黒き皇子』を静めようとした
一年に一度、生贄を捧げる
それが黒き森に広がる里の掟となった
そして今年も
生贄が捧げられる
純真なる心と身体を持つ生贄
それが贄の条件
今年も、贄が選ばれた
純真な心と身体を持つ生贄が…
里の子どもが
生贄に捧げられたものは帰ってくることはない
二度と
決して
だから人々は噂した
『黒の皇子』が子どもを喰らったのだと
そんな伝説の残る『黒の森』
今年も生贄が捧げられる
『黒の皇子』の元へと
『憎しみは永遠の愛にも似て…』