ギアス短編3

□妄想イリュージョン
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人は耐えられないほどの辛い現実に直面したとき、ときに現実から逃避することがある。

それは時に夢といわれたり、あるいは…


















『妄想イリュージョン』


















ルルーシュは耳に押し当てていた携帯電話を力無く降ろした。

突然鳴り響いた電話。
相手は…スザク。

電話越しに告げられたのは、憎しみの声。

『ゼロ』に向けられた、激しいほどの憎しみ。

そして、

『空を見ないでくれ』

悲しいほどの、思い。



胸に走ったのは、痛みと苦しみ。

どうしようもない思いが、溢れ出る。



次の戦いでは、命を懸けて戦わなければならないかもしれない。
いや、戦わなければならないのだ。


『ゼロ』だから。

スザクがゼロを憎むから。




大切な人と、戦う。

いや、殺し合うといったほうが正しいのかもしれない。



何という現実だろう。

あまりに耐え難い。



耐え難い…現実。



認めたくない。
いっそ夢だと思いたい。



ルルーシュはまるで現実から逃れるように目を伏せる。

閉ざされた視界。
真っ暗な闇。

見えなくなった戦場。
目の前の現実。


その奥から揺らめいていく、思考。


白い、
真っ白な乳白色の色。

ルルーシュはそれを求めて手を伸ばす。

白い、真っ白な太陽。


それをルルーシュは、その手に掴んだ。



瞬間、思考が一気に膨れ上がった。



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