ギアス短編3

□希望の地
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荒野に吹き狂う砂塵

辺りに蔓延する、紅い色


散らばる残骸

焦げた臭い



…ここは戦場



枯れた風が、吹き荒れた





風に煽られ、黒が舞う

その黒に包まれ、茶が散った



背中合わせの2人

夕日射す戦場の上で、2人はひっそりと立っていた



その手は緩やかに繋がれている

それでも指の一つ一つまで、しっかり絡み取られた手は、離れないという意思が込められている





「終わったんだね…」

「あぁ、終わった」





傍にはつい先ほどのまでの戦いが嘘の様に屹然と立つ、白いナイトメア

そしてそれに守られるように後ろに控える黒のナイトメア



周りには多くのナイトメアの残骸

すべて再起不能なまでに破壊され、起動するものは1つとしてなかった



「誰も…、生きてないかな?」

ふと呟いたスザクの言葉に、ルルーシュは小さく笑う

「生きてないだろ。おまえが全力で戦った上に、『箱』まで開けたんだから」


その答えに、スザクは微かに目を伏せた



「箱、か…」


少し前まで、開けることすら怖かった箱

でも



「だって、あいつら君を殺そうとするから」



だから我慢できなくて




さらさらと流れた風

それに乗せて、ルルーシュは微かに微笑んだ




「愛されてるな」

少しだけ冗談を含めて言った言葉

それにスザクは静かに微笑みを称えて返す

「愛してるもん」


それにルルーシュはさらに笑みを深めた


「さすがはスザクだな」

「どういたしまして」


2人は軽く笑い合いながら、でも強く手を握り合った


戦場に立つのはただ2人

2人だけ




まるで、世界にはただ2人だけしかいない錯覚すら覚えるほど




「厄災の降り立った世界…。これから、どうする?」

焦げ付いた大地

燃え尽きた草木

まさに厄災の降り立った世界と呼ぶに相応しい


その地で

これからどうするか



その問いに、スザクはふわりと笑う


「前兆はまだ残されたまま。だから希望は残ってるんだよ」


ただ聞いただけでは意味の伝わらない言葉

でもルルーシュには


「そうか…」

スザクの言葉の意味を正確に捕えた




だから




「いこう」



手を差し伸べる


そしてスザクは、その手をただ静かに取るだけ




「いこう」

少年たちは微かに笑った









『希望の地』



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