ギアス短編3

□幸せの在り処、ここに
1ページ/5ページ




幸せは、今ここにある


丘の上の、この真っ白な家に




















『幸せの在り処、ここに』


















「うーん…」

スザクは困っていた。

目の前には、今届けられた荷物。


宛名はミレイ。

また何かやらかすようである。
それはさすがのスザクもわかるようになってきた。


だとしたら、こんな玄関先に置いておくわけにはいかない。

さっさと部屋に片付けておくべきなのだが。



スザクは無意識に腕を擦った。





その腕は、本来の機能を十分に発揮しない。

動かすだけなら、まだ可能。
だけど、その動作もあくまでゆっくり。
そしてその可動範囲も限られている。


そのため、こういった荷物を運ぶことも困難なのだ。



「さて、どうしよう…」


スザクは再び悩んだ。




いつもなら、自分が出来ないときは彼を呼ぶのだが。


「どうした」


まさに考えていた、丁度そのとき。


「あ、ルルーシュ」


ぴったりのタイミングでやってきたルルーシュ。

いつもなら嬉しく感じるところだが、今日に限っては。


「荷物が届いてるんだけど…」

「なら俺が運ぶさ」


いつものことだろ?と言って返すルルーシュに、スザクは困ったように微笑んだ。

確かにいつもなら彼を頼る。
自分でしたいところだが、この腕ではどうしようもないことがあるから。

だから逆にルルーシュが困ることは助ける。

持ちつ持たれつ。

それが無意識のうちの決まりだった。


だが、今日はそういった問題ではない。



「えっと…多分無理かと」

「何で?」



心底不思議そうに聞いてくるルルーシュに、スザクは困りきった。


スザクの目の前には、大きな荷物。
とてもルルーシュ1人で運べるような代物ではなかった。

そう、ルルーシュには無理なのだ。

多分、以前のスザクなら悠々と運べるもの。

でもルルーシュの体力や筋力では…多分無理だ。


ルルーシュにだってこれを見てみれば持てないとすぐにわかるだろう。
自分の力量は知っているだろうから。

だが、今のルルーシュには。


「スザク…その荷物って一体どんなのだ?」


見えてないのだ。


「えっと…かなり重そうで、しかも宛て先が」

ミレイさんなんだけど。

そう付け加えると、明らかにルルーシュの顔色が変わった。


ルルーシュはスザクよりもミレイの無茶を知っている。
だからこそ、"ミレイ"からの"荷物"にここまで敏感に反応したのだ。


「スザク、捨てるぞ。いいな」

「それは、さすがに…」


何の躊躇いも無く即効で返された答えに、スザクは苦笑いを浮かべながら一応否定的な意見を述べておく。

一応、人様からの荷物だ。
いくらなんでも、即効で捨てるのは気が引ける。

だけどルルーシュは違った。
彼はあくまでも合理的なのだ。


「いや、捨てる。即効捨てる。嫌な予感しかしないからな」

再びきっぱりと返された答えに、スザクはもはや笑うしかなかった。

「まぁ、いいんじゃない?」

スザクだって、嫌な予感がしないわけではない。
むしろそんな予感でいっぱいだ。
できれば早めに処分したい。

だから結局はルルーシュの意見に賛同したのだ。



が。



そういうときに限って、上手く行かないものなのである。



「はろーぅ!スザクちゃん、ルルちゃん、元気ー♪」


まさにばっちりのタイミング。

ドアが吹っ飛びそうな勢いで開けられ、それと同時にこれでもかと言わぬばかりにご機嫌な元凶様が飛び込んできたのだ。



それには、ルルーシュはもはや頭を抱え、スザクは苦笑いを浮かべるしかなかった。




次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ