ギアス短編4
□-K- night
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もう一度、笑顔が見たかったんだ
だから、僕は行く
『-K- night』
『トト』
そう言って、向けてくれる笑顔が大好きだった。
大好きだと、たくさん詰まっている笑顔だったから。
―…でも、近頃のご主人様は難しい顔ばかり。
僕が抱きついても、手を舐めても、少し笑うだけ。
そしてすぐに、ちょっとだけ泣きそうな顔をする。
どうして?
ご主人様…。
ご主人様、寂しいの?
あいつが傍にいないから?
悔しいけど、本当に一番の幸せな笑顔は。
アイツに向けてる笑顔だって事、僕は気付いてたよ。
最近、ウザいくらいご主人様の傍に居たアイツがいない。
どうしていないの?
また、喧嘩した?
あの時も、ご主人様を泣かせていたよね。
だから、僕は嫌いだったんだ。
ご主人様を泣かせるのも、本当の笑顔を引き出せるのもアイツだから。
だから嫌いなんだ。
でも…だから。
だから認めてたんだ。
ご主人様の幸せを引き出せるのは、アイツだって知ってたから。
だから、
僕、行くよ。
黒猫は走る―
ただ1人のご主人様のために