「普通は逆じゃない?」そう言って笑う声を無視して、その手にキスを送る。騎士が王へと誓いのキスを送るかのごとく。それこそ、自分たちの立場を思えば逆なのだろうが。「いいんだよ」そう答えながらもう一度、その手にキスを送る。それに対し、苦笑いを浮かべているだろう顔を思い浮かべながら。この手に送るキスは、忠誠のキスではないのだから。ただただ、愛おしい人へと送る、誓いのキスなのだから。