ハート

□*heart to storyー3
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此処に来て十何回か時間帯が変わった。(眠ったりしてる時もあるので正確にはわからない)
全くもって変なところだ。
だがその変なところに、慣れてきた自分もどうかとも思う…幾ら生きるためとはいえ、人の順応力とは恐ろしい。


どうやら、この国は[ハートの国]と呼ばれるらしい。
聞いた当初は思わず吹き出してしまったくらい、メルヘンで乙女的な響きだ。私の肌には合わないな。
そんな名前の国など聞いた事がない。まるでおとぎ話の国のような名前だ。…でも私が世間知らずなだけであって、もしかしたら世界にはそんな名前の国が数国存在するのかも知れないし…まぁ、納得いかないが、納得しておこう。

そしてこの国には規模がほぼ同じで、領土争いをしている3勢力が存在するらしい。信じられない事に私が見た遊園地も、その一つ。



何で遊園地なんだ。

私は大いに突っ込みたいが、周りは当たり前のように話すのでその突っ込みは私の中でくすぶっている。

そして、お姉さんに進めた道の先も3勢力の一つ。女王が納めるハートの城があるらしい。
まぁ…領土争いに参加しててもおかしくない、ごく普通の勢力だ。女王がかなりの暴君だと聞く。

お姉さんにはあの後、広場に行っても会っていない。大丈夫かな…かなり、心配だ。やっぱり付いて行けば良かった。良心が痛む。


そして、もう一つ。彼女に進めなかった道の先には、帽子屋ファミリー…マフィアの屋敷があるらしい。
広場からそう離れていない私が働く店も、この帽子屋ファミリーの領土に当たる。




響きがどことなく、マヌケなファミリーだ。正直、名前だけなら怖くない。



最後に私が落ちた、時計塔広場。
此処は3勢力のどことも納めていない。いわば休戦の土地。あの塔には、この国唯一の時計屋がいるらしい。
…変な事に…この国に来てから私は塔以外の時計を、余り目にしていない。店にもない。
たまに暗い顔をした人たちが、時計を持って塔に入って行くの以外は見た事がない。

何故時計を飾らないのか、とオーナーに聞いたら怪訝な顔をされ

「そんな自虐的な事するか」

と何故か怒られた。どうやら時計はこの国では、タブー(禁句)のようだ。以来、時計の事は話さない。
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