ハート
□*heart to storyー3
2ページ/12ページ
時間帯がランダムなのも常識の範囲らしい。
この国の情報はそんなところ。
そして、肝心の帰る情報だが…
「何で…誰も私の国、知らないんだろ…」
今は昼間、店がまだ空いていない時間。表参道のベンチで自分へご褒美に買ったアイスを食べながら、一人ポツリと呟く。
お客や、街の人に聞いても誰一人。私の住んでいたような所は知らないと答える。
只、顔見知りがかなり増えただけで…帰れる見込みはまるでない。
「あ〜お姉ちゃん、こんにちは」
「あら、シスター。こんにちは。今は奉仕活動の休憩中かしら?」
声をかけられた方を振り向けば、手を繋いだ親子が笑顔でベンチの側に立っていた。
「こんにちは。そんな所です」
ベンチの端に座り直しながら言えば、親子は空いたスペースに腰かけた。
親子は表参道近くに住んでいるらしく、私が情報収集の一環として始めたボランティア(ゴミ拾いや、無賃金でまともなお店の手伝い、子供の遊び相手等)していれば、よく声をかけて一緒に手伝だったりしてくれる。
この親子のおかげで、私は近辺の奥様方や子供とはすこぶる仲が良い。
「ぇへへ…みんなおそろいだね!」
「そうだね〜。君はストロベリー。お母さんはバニラでしょうか?」
「うん」
「シスターは…コーヒーかしら?」
「当たりです。やっぱりアイスといえば、このお店ですよね〜?」
「ね」
3人でアイスを片手に顔を見合わせて笑った。
顔といえば、最近。私は少し目が悪くなった。景色はそんな事はないのだが、人の顔がぼんやりとおぼろげに見えるのだ。よく見れば違いがわかるのだが、離れていると余り判別が出来ない。