ハート

□*heart to storyー3
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時間帯がランダムなのも常識の範囲らしい。

この国の情報はそんなところ。


そして、肝心の帰る情報だが…



「何で…誰も私の国、知らないんだろ…」


今は昼間、店がまだ空いていない時間。表参道のベンチで自分へご褒美に買ったアイスを食べながら、一人ポツリと呟く。

お客や、街の人に聞いても誰一人。私の住んでいたような所は知らないと答える。
只、顔見知りがかなり増えただけで…帰れる見込みはまるでない。


「あ〜お姉ちゃん、こんにちは」

「あら、シスター。こんにちは。今は奉仕活動の休憩中かしら?」


声をかけられた方を振り向けば、手を繋いだ親子が笑顔でベンチの側に立っていた。


「こんにちは。そんな所です」


ベンチの端に座り直しながら言えば、親子は空いたスペースに腰かけた。
親子は表参道近くに住んでいるらしく、私が情報収集の一環として始めたボランティア(ゴミ拾いや、無賃金でまともなお店の手伝い、子供の遊び相手等)していれば、よく声をかけて一緒に手伝だったりしてくれる。
この親子のおかげで、私は近辺の奥様方や子供とはすこぶる仲が良い。


「ぇへへ…みんなおそろいだね!」

「そうだね〜。君はストロベリー。お母さんはバニラでしょうか?」

「うん」

「シスターは…コーヒーかしら?」

「当たりです。やっぱりアイスといえば、このお店ですよね〜?」

「ね」


3人でアイスを片手に顔を見合わせて笑った。
顔といえば、最近。私は少し目が悪くなった。景色はそんな事はないのだが、人の顔がぼんやりとおぼろげに見えるのだ。よく見れば違いがわかるのだが、離れていると余り判別が出来ない。
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