世界を越えた恋をしましょう
□愛ではなく貴方に溺れました
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背面は海に…
前面は雨に…
何時もの如く突然海が恋しくなった…
恋しくなった理由はあの男が原因……間違いなく…
「…………」
灰色の空を見つめていたら視界の上に原因の男の顔が映る。
傘も差さず私を見下ろす男はポケットに手を入れたままジーッと見ていたが、男はその場から消えていた…
「………!?」
一瞬思考停止になった頭はドボンッと鳴った音と共に再び動き出す…
「ろ、ローさん…!?」
海は浅瀬で大人が溺れる事はまず無いが、ローさんは泳げない体質だと聞かされた私は慌ててローさんを引っ張り上げる。
ローさんの腕を自分の肩に回し砂浜まで移動する…
「…人の事言えませんが…何してるんです?」
ロ「好きな女の為なら火の中水の中ってヤツだ」
「…その好きな女に助けられた今の心情は?」
ロ「飛び降りて良かった…
お前の焦った顔と声が頭から離れねぇ…」
助けられてるのに弧を描く唇は深くなっていくのを確認しては砂浜に辿り着く。
「…大丈夫ですか…?」
ロ「あぁ…
雨が海水を洗い流してくれてるからな…」
砂浜に座るローさんは雨をシャワー代わりに浴びるが、その姿にドキドキしてしまう…
「………」
ドキドキを誤魔化すため私も雨を浴びながら目を瞑った…
ロ「なぁ」
「はい?」
ロ「お前は何してるんだ?」
立っていた私は隣に座るローさんに一度視線を向けると再び空へ。
お気に入りのロングパーカーのポケットに両手を入れては喋り始めた…
「…逃げたんです…」
ロ「………?」
「…追っ掛けて来たけど…」
ロ「…………」
「溺死する前に海に逃げました」
ロ「どういう意味だ……?」
「そのままの意味です」
溺れるだけなら良い…
だが、隣に座る男は私を溺死させる…
否、もう溺死してるかもしれない…
四六時中貴方が私の脳を支配する事を溺れてると言わず何と言う…?
。