世界が変わっただけでこんなにも私は変わった
□私の先生は摩訶不思議
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『大気に潜む無尽の水、光を天に還し形なす静寂を現せ…』
べ「…?なんか空気が冷たい…」
シ「おっ!魔法か!?」
期待を込めた視線が私に刺さる中私は釣竿を下から上へと振り上げた…
『……ブリザジャ』
釣竿を振り上げたと同時に海王類の身体は止まった。
ぺ「凍った…」
べ「死んだの?」
「凍らしただけです」
シ「氷の彫刻みたいだな」
ロ「鮫が哀れ過ぎるがな」
海王類の口からはみ出てる鮫も一緒に仲良く氷漬けになった一つの芸術作品。
べ「サファイア〜!!」
後ろからベポが抱き付きふかふかモコモコに包まれた。
魔法で冷たくなった空気には丁度良い温もりに身を委ねようとしてハッとした…
戦場で誰かに身体を預けたり背後を取られる事は死に等しい環境に居た私は当然誰かに背中を預けたり、背後を取られたり等させなかった…
常に24時間全神経を研ぎ澄ませながら過ごす日々…
けど此処ではローや今もベポに背中を預けている…
……信じられない……
誰かに背中を預けているんだと認識した途端身体が僅かに力んでしまった…
ベ「どうしたの?」
「…いえ」
ベポの腕を解き甲板に下り、今度は私がベポを前から抱き付いた…
シ「ベポばっかずりーな」
ぺ「まぁベポだからな」
べ「へへっ」
ロ「……チッ」
ベポの肉球が背中に当たりくすぐったい…
「………」
人が当り前だと思う出来事が私には新鮮だった…
ちょっとずつで良い…
私は変わりたい…
私はある意味死んだ身に近い人間…
ならこの世界では今までとは違う生き方をしよう…
戦うだけの人生ではない、もっと違う人生を…
ロ「いつまで抱き付くつもりだ?」
「…私の気が済むまで…」
ロ「………」
何で機嫌悪いの?
シ(…ペンギン…)
ペ(…あぁ…)
二人はアイコンタクトで何やら合図をしては静かに船内へと消えてしまった…
ロ「……ったく」
頭を撫でられローを見上げると少し拗ねたような、でも頭を撫でる手は優しく温かくて私は嬉しかった…
少し速くなる心臓の正体に内心疑問を抱きながら…
つづく