戦国無双夢

□水も滴る良い男女
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梅雨明け目前の晴れの日の出来事だった。
暇だったから少し近くを散歩していたが急に雲行きが怪しくなり、案の定雨が降ってきた。


「あらら…」


家までの林道を歩きながら空を見上げる。
既に濡れ慌てて帰っても仕方ないから私はゆっくり歩く。
季節が季節だから風邪を引く事もない。


「清正と三成の説教が待ってるしな」


濡れて帰ってもあの二人の説教が待っている。
最近やたら説教が多い…
何か居候から小姑にレベルアップした気がする。

意味もなくクルクルと身体を回転させながら移動していた。

天然のシャワーを全身で浴びていたらふと何かに包まれる…


親「何をしている?」


「雨に当たりながら帰宅中で今は元親に後ろから抱き締められ中」


両手を空に掲げる。


「元親は何してるの?」


親「お前と一緒だ。
雨に降られ、ふらふら歩くお前を閉じ込めてみた」


抱き締める力が強くなり、元親の髪から水滴が落ちる。
普段から色っぽい元親が更に色っぽいから参る。


「帰ろ?」


親「あぁ」


身体を解放されるが、手だけは繋がったまま歩く。


「帰ったら説教の嵐ね」


親「清正と三成の事だ。戸を開けたら仁王立ちで待っているかもな」


「眉間に皺を寄せてね」


これから起こるであろう出来事を予測しながら家に到着。


戸を開けると三成が仁王立ちで待っていて、清正がタオルを持ちながら壁に寄り掛かっていた。


親「ククッ…予想通りだな…」


「ね」


元親と二人で笑っていたら、清正がタオルを上から被せる様に投げ付ける。


清「何を笑っている?
とっとと身体を拭け」


不機嫌そうに去る清正。
今だに腕を組んで私達を見下ろす三成。


「出迎えご苦労」


三「っ貴様は…!?」


「水も滴る良い男と女が帰りました♪」


頭を拭きながら軽くウィンクをすると益々不機嫌になる三成。


三「もう知らぬ!!」


拗ねた三成は歩きだすが、私は背に向かって言った。


「三成、ありがとう」


三「……フンッ」


三成は一瞬止まるが直ぐに歩きだしては居間に入っていった。


親「湯殿に行け」


「うん。これで風邪を引いたら流石に口を聞いてくれないかもしれないしね」


親「風邪を引いたら看病してやる」


「凄絶に?」


親「フッ…あぁ」


元親の決まり文句を言っては二人して笑っていた。


「今度は一緒に傘を差して散歩しましょ」


親「フッ…お前が望むなら」


タオル越しに頭を撫でてくる元親に微笑みながら私は風呂場に向かっていった…















短いけど終。
 

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