戦国無双夢

□相合傘
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夕立に遭遇した私。
傘は無し。
財布と携帯を持って自転車に乗ったのが30分前。
特に用は無いが本屋やコンビニで買い物しようとしたら空から水が…


すぐに近くのコンビニに行きビニール傘を買い、傘を差しながら自転車を押す。


肩で傘を支えながら商店街を抜けようと通っていたら…

軒先に見覚えのある銀髪を発見。


「入っていく?」


清「ああ、悪いな」


清正に傘を渡し、相合傘で帰る。


「何してたの?」


清「別に…ただの散歩だ」


はい、会話終了。
沈黙が続くが決して嫌な空気ではなかった…
私の歩幅に合わせて歩く清正のさり気ない優しさに内心喜んでいたが…


「………?」


何か視線を感じ視線の主を見上げた…


「清正?」


名前を呼んでも反応しない清正に首を傾げた。


清「…鈴…」


「……っ」


不意打ちのキスを食らってしまった…
片手で傘を、もう片方の手で頬に触れられながら清正の表情は勝ち誇っていた…


清「冷えてるな」


私の両手は自転車に置かれてる為、抵抗も受け入れも出来ない。
しかも抵抗はする気にもならず、かといって受け入れ……清正を抱き締めようとは思わなかった…

ただ、唇が重なっただけ…
別にファーストキスでもないしね…


「人の唇を勝手に奪わないでよ」


清「勝手じゃなかったら良いのか?」


再び前屈みになる清正につい目を閉じてしまったが、何も起こらないのでゆっくり目を開ける。


清「煽るな、馬鹿」


見上げた先には超至近距離の清正の顔が…その距離約1p未満。
額と額が重なり、吐息が唇に当たる…
清正の瞳に私が映り、多分私の瞳には清正が映ってるいるのだろう…


「…………」


清「…………」


限界だった…


瞼をゆっくり閉じると、清正の瞼も閉じてゆくのが見えてしまう…

ほんの少し背伸びをして私から唇と唇を重ねていた…

一瞬で唇を離し目を開けると優しく微笑む清正に額をキスされ、私は恥ずかしい気持ちを悟られない様に「帰ろう」と言った。


私の右手は自転車を、清正の左手には傘が…
そして互いに空いている手と手を繋いで家に帰っていった…

家に着くまでに、少し熱い頬が冷める事を祈りつつ…



















終。
 

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