戦国無双夢

□秘密の逢瀬
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真夏日の昼過ぎ。
少しでも涼を求めて近くの川に来ていた。
持参したタオルとミネラルウォーターを丁度良い高さの岩に置き、素足で川に入る。


「冷たくて気持ち良いね」


三「…………フンッ」


裾を上げ、足を川に入れる三成はやはりツンデレ。否、ツンツンだった。


相変わらず素直じゃないな(苦笑)


木々の間の木漏れ日を見上げる三成の背中を力一杯押した。


「ほいっ」


三「なっ!?」


バランスを崩し倒れるが、流石は三成。
私の腕を咄嗟に掴み、二人一緒に川にダイブしていた。


「悪戯失敗か」


三「…貴様…」


「はははっ」


ずぶ濡れになり、笑って誤魔化した。


三「…チッ…」


髪を掻き上げる仕草が滅茶苦茶様になっている。


「黙ってればいい男なのにね」


三「貴様もな」


「ふふっ」


タオルを取ろうと立ち上がるが、再び腕を引っ張られバランスを崩す。


「えっ…!?」


三成は私ごと後ろに倒れるが、川自体は浅い為溺れる事は無い。


「仕返し?」


三成の顔の脇に両手を置いて至近距離の私達は傍から見たら私が三成を押し倒してる絵にしか見えない。


三「退け、重くて潰れる」


「はいはい」


女に対して重い発言が出来る三成はある意味尊敬に値するわ…

三成から離れ立ち上がる。
川から出てタオルを三成に渡す。


三「俺にこんな事する女はお前が初めてだ」


「傲慢、我が儘、傍若無人、高飛車…他諸々。
三成に悪戯出来る人間は確かに少ないだろうね」


三「…貴様…」


あははっと笑いながら髪の毛を絞る。


三「俺は人を不快にさせる」


「不快に?私は一緒に居て楽しいけどね」


不快に思うなら一緒に居ない。


「三成はそうね〜
天邪鬼、素直じゃない、不器用、世渡り下手かな。
まぁ、最初はめんどくさい人間だけど、慣れれば面白いんじゃないの」


三「面白いだと?」


「私が悪趣味なだけかもしれないけどね(笑)
っ痛たたっ…」


三「…………」


無言で頬をつねる三成。


三「俺だってこんな自分が嫌になる時がある」


「そりゃあ人間なら生きてる内に一度や二度は思うわよ。
けど良いんじゃないの?
石田三成は、容姿端麗、頭が良くて、理屈ぽく、馬鹿で…
でもそんな三成を受け入れてくれる人間も居るでしょ?」


三「…物好きは居るな…」


「なら良いじゃない。
本当の自分を知ってる人が居るだけでさ」


軽くウィンクをする。


三「貴様は…?」


「あら?私をその一人に入れてくれるの?」


三「っ…調子に乗るな」


ぷいっと外方向く三成。


「それは残念」


身体を伸ばそうと爪先立ちをするが…それがいけなかった…


「…!?」


足場が悪い場所の為バランスを崩し、そのまま川へダイブ。


三「何をしてる?」


「…うっさい…」


倒れた私はそのまま頬杖をついていた。


「まったく…
私が何をしたって言うの?」


ぶつぶつ不満を言いながら立ち上がるとタオルを被せられた。


三「日頃の行いが悪いのでは無いのか?」


「酷いな〜」


タオルで頭を拭きながら川を出ようとしたら手を差し出す三成。


三「また転ぶのは嫌であろう」


不敵に笑いながら嫌味を言われる。


何と言って目の前の男の眉間に皺を寄せようかと考えながら手を重ねる。


三「何を考えている?」


「三成は綺麗な顔してるなって思ってたの」


三「全然嬉しくない」


「じゃあ格好良い」


三「じゃあは余計だ」


「ふふっ」


眉間に皺が寄る三成に満足。


三「悪口しか出ぬ口は塞ぐぞ?」


「どーぞ、ご自由に」


冗談のやり取りだと思った。
しかし、重ねた手を引っ張られそのままの勢いで塞がれる唇。


「……っ!?」


粘着性の水音が口内で鳴っていた。
無理矢理奪われてるのに、三成の唇と抱き締める手が甘くて拒めない。


「…っ…くる…し…」


カクンと膝が抜けるとそのまま地面に膝立ち、三成も一緒に着いてくる。
抵抗の為の左手も今ではただ服を弱々しく握るだけで意味は無い。


三「…ふんっ」


やっと解放されるが鼻で笑う三成を呼吸を整えながら見ていた。


…この野郎…


「ハァ…殺す気…?…ハァ…馬鹿…」


三「もう一度塞ぐぞ?」


「涼みに来たのにこれじゃ川に来た意味がないじゃない」


違う意味で身体が熱い。


三「熱いな」


優しく三成の手が頬を撫でる。
冷たい手に優しく撫でられた私は猫のように瞼を閉じる。


「誰の所為よ」


三成の首に腕を回し自分からキスをする。


三「…っ」


「顔真っ赤」


不意の出来事にほんのり頬を赤くする三成。


「三成は初だけど意外と手が早い…と」


三「……」


この時間は夏の暑さが見せた幻覚と思ったが、いまだに熱い頬と唇に残る感覚が現実だと教えてくれる。


「また来ようね」


三「…気が向いたらな…」


「ふふっ」

































ツンが難しい。
 

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