戦国無双夢

□*初夜
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「今宵部屋に来い」


そう三成に言われた鈴は三成の部屋に一人で居た。
部屋の主は居らず、既に敷かれている布団に正座して待っていた。


「…………」


夜、恋人に呼ばれる事の意味を知らぬ訳が無い鈴だったが、生憎経験は無いため少し緊張気味で待っていた。


「………遅い」


しかし、いくら待っても来ない三成に痺れを切らした鈴はそのまま横になっていた。


褥から僅かに三成の香りを感じ、瞼をゆっくり落ちていくのだった。














三「…………」


執務が予定より時間が掛かった三成は急ぎ自室に戻る。
自分から恋人を呼びながら待たせてしまった事に、小言の一つや二つは覚悟して襖を開けるが、聞こえきたのは僅かな寝息だけだった…


三「鈴」


眠ってる鈴に拍子抜けするが、自分の布団で安心して眠る鈴の寝顔に自然と笑みが生まれる。


「……三成…?」


眠りが浅いお陰なのか、傍に座り頬を撫でると目を覚ます鈴。


三「待たせたな」


「遅い」


頬に添えられた大きな手に自分の手を重ねる鈴の表情は穏やかだった。


「仕事お疲れ様」


しかも労いの言葉まで貰い、三成は目を細める。
鈴は何時もそうだ…
不満を言わず、常に相手を気遣う。
しかも老若男女構わず、皆に平等に接する。

人付き合いが苦手な自分にも最初から笑顔で接し、時には憎まれ口を叩く鈴がとても新鮮で直ぐに惹かれていった。

そして今、鈴が自分の手の届く距離に居る事に喜んでいた。


三「俺がお前を呼んだ意味を分かっているな」


頭の両端に手を置き、鈴の身体に被さる。


「勿論。
私が此処に居る理由が答えよ」


自分の背に回る細い腕だったが、僅かに震えるのに気付くとその身体ごと抱き締める。


「少しらしくない事を言って良いかしら?」


三「…あぁ…」


「私は三成が好き。
今からする行為は私自身の望みでもあるわ」


でも…と小さく呟く鈴が弱々しく感じて無意識に抱き締める力を強めていた。


「三成に抱かれたい気持ちと同時に恐怖心が有るのも事実なの…
こんなに好きなのに…」


鈴の言葉に喜びが隠せない三成は更に腕に力を込める。


「一つだけ約束して」


三「何をだ?」


「私の事を好きなら途中で止めないで」



腕の中に居る鈴をこれ程まで可愛いと思ったのは初めてかもしれない。

気が強く、言いたい事をハッキリ言う鈴は強い人間と認識しても間違いでは無いと思う。
けど、己より細く小さい身体に震えながら抱き付かれ、尚且つ斯様な言葉を聞かされては理性なんか消え去っていく…


三「…鈴…」


「…んっ…!!」


小さい唇を貪る様に求め、舌を絡める。
自制なんて出来ない…
出来るわけがない…


鈴の中では三成に愛されたい気持ちと、未知の世界に踏み込む恐怖心の二つの思いが支配してるのだろう…

抵抗せず口付けに応える姿は前者、震える身体で三成の着物を弱々しく握る姿は後者だろう。


何処までも自分を煽る気なんだ?


自分だって優しくしたい。
僅かな痛みも与えずに快楽だけを感じてほしい…
しかし滅茶苦茶にしたい醜い欲望が存在するのも事実。


「…ふぁ…ん…」


完全に力が抜けた鈴を解放し、一度褥に寝かせる。


上半身を起こし、頭の装飾や身に纏っている着物を乱暴に脱ぎ、上半身だけ肌を見せる三成。


「…ハァ…ハァ…」


真上でそんな光景を見ていた鈴の鼓動は確実に上がっていく。


そして再び重ねられる唇。
今度は自らも舌を差し出し、絡め合わせるが直ぐに苦しくなり引っ込んでしまい、結局追い掛けてきた三成の舌が口内で鈴の舌を味わい、時折歯列を行き来する。


唇と舌に夢中になってる間に帯を解き、着物を左右に開く。


「…ゃ…」


露になった白い肌に喉が鳴る。


三「お前は止めるなと言うが…」


不可能だ…



やっと手に入れた愛しい女を前に理性を保てる自信が無い。


痛がっても嫌がっても止めてやらない…


耳元で本音をぶつけると鈴が笑って頷いていた。














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