戦国無双夢

□恋する女は美しい
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―鬼と娘が博打勝負してる―


城内ではこのような噂が流れるが、当の本人達は気にせず酒を飲みながらサイを振っていた。


昼に稼いだ百両が十倍の千両にまで増やす鈴の表情はやはり普通だった。


義「お嬢は金に興味は無いのか?」


「無いですね。私が賭博を好きな理由はこの緊張感です。
お金を増やすのは好きだけど、使う事には全く興味が無いのです」


義「お嬢には物欲が無いのか?」


「私にだって欲しいモノの一つや二つありますよ。
ただお金では手に入りません。
世の中お金で手に入る物が九割、手に入らないモノが一割…私の欲しいモノはその一割のなんです」


盃を傾け、一気に焼酎を飲み干す鈴。


義「成る程な」


鈴の欲しいモノが何なのかを何となく理解するのは年の功だからだろう。
義弘は野暮な質問はせず、ただ月を肴に故郷の酒を堪能していた。


母「失礼。皆が鈴の事を待ってるわよ」


母の登場に鈴は立ち上がる。


「勝負に勝ったお金は結構ですので、今度薩摩の焼酎を下さい」


義「ならば極上の酒を用意すると約束しよう」


「楽しみにしてます」


一礼をして親子は鬼の元を去った。


母「まったく、何をしてるのよ」


「お酒を飲みながら博打してた」


母「流石と言うべきか、相変わらずと言うべきか」


軽く嘆息を吐く母と一緒に皆が居る部屋へ…










やはりと言うべきなのか…
皆が居る部屋は混沌化していた…


正則と半兵衛は既に夢の中。
清正と政宗と元親は微酔い程度で、三成と幸村は酒を控えてるのか素面であった。


父「いいか甲斐姫…」


甲「…………」


部屋の隅では父と甲斐姫が何やら話中だった。


「何してるの?」


父「甲斐姫の恋愛相談をしてる」


甲「頼んでないから…!!」


「野暮な事をしてるわね」


父「野暮?」


「恋愛は当人同士の問題…周りがガヤガヤ言うなんて野暮よ野・暮!!」


そう、甲斐姫は鈴の兄に好意を寄せ、兄もまた万更では無いのが現状だ。

















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