戦国無双夢
□家族増員
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「鈴様!!」
「はい」
様付けで呼ばないで欲しい…
「母君様の陣痛が始まりました!!」
女中さんが慌てた様子で私に知らせてくれた。
「すぐ行きます」
半「やっとだね」
「だね♪」
半兵衛に手を振っては母の元へ向かう。
途中色んな人に声を掛けられた。
―いよいよですな―
―無事に産まれる事を祈ってます―
―産まれたら是非お顔を拝見させて下さい―
何かもう感動して泣きそうだった…
皆の暖かい言葉が身に染みるわ…
廊下を早歩きで移動してたら父と兄を発見。
父は庭に出て凄く真剣に祈り、兄も腕を組んで目を瞑っていた。
「立ち会わないの?」
父「あぁ…出産は神聖な場所だと俺は思っている。
女しか入る事の許されないってな…」
「…成る程ね…」
父「鈴」
「ん?」
父「母さんの傍に…」
「そのつもりよ」
父にウィンクをする。
兄「とっとと出て来れば良いのにな」
「まぁね」
兄は冗談を言いつつも何時ものふざけた雰囲気は無かった。
「では、神聖な場所へと行きますか」
母が居るのはこの先の部屋。
一度ゆっくり深呼吸をするが、何やら凄い勢いで足音が近付いてくるので後ろを振り返る。
正「おいっ!!産まれたか!?」
清「馬鹿。まだお産は始まったばかりだ」
三「馬鹿め…貴様が五月蝿過ぎて赤子も出たくとも出て来ないだろな」
正「アンだとーーーっ!?」
清「うるせえよ、馬鹿」
通称三馬鹿トリオのやり取りは本日もご健在と。
けど皆が赤ん坊の誕生を心から待ち望んでるのが凄く伝わる。
「こんなに沢山の人達が首を長くして待ってるなんて、お腹の子供は凄く幸せね」
兄「産まれる前から罪な奴だよな…良い意味で」
大阪城の人々、此処には居ないが幸村、政宗、元親も赤ん坊の誕生を待っている。
此れ程幸せな事はないだろう…
私は皆の想いを胸に母の元へ向かった…
。