戦国無双夢

□*口付けの真意
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「キス…口付けには意味があるって知ってる?」


「意味?」


「そう例えば…」


縁側で酒を飲む三成の目の前に立っては髪に唇を当てる。


「髪の口付けは思慕、額は祝福、瞼は憧憬、耳は誘惑、鼻粱は愛玩、頬は親愛…」


髪から順番に唇を当て、最後は唇にも触れるだけのキスをする。


「そして、此処が愛情」


三成の唇を人差し指で撫でる。
杯を置いた三成の両手が頬を包みそのまま鼻筋にキスをする。


「鼻粱が愛玩なら俺ではなくお前に相応しい」


―可愛くて仕方ない―…と素直に言葉に出来ない自分に内心溜め息を吐く三成。


「ふふっ」


けれど、幸せそうに笑う鈴に三成の胸を熱く締め付ける。


「ちなみに手の甲は敬愛でそれ以外の場所は狂気の沙汰らしいわ」


三成の左手の甲に唇を当て、そのまま指を交差させながら握る。


喉は欲求
首筋は執着
背中は確認
胸は所有
腕は恋慕
手首は欲望
掌は懇願
指先は賞賛
お腹は回帰
腰は束縛
腿は支配
脛は服従
足の甲は隷属
爪先は崇拝






「確かに狂気だな」


「ね」


握る手に力を込め額と額を重ねる。


「お前はどの場所にされたい?」


「全部」


「全部?」


「そ、全部。
私は欲張りだから」


「そうか、なら…」


ひょいっと私を抱き抱えながら部屋に入り褥に運ばれそのまま腰を下ろす。

左腕で私を支え、右手が頬を包むと項にキスをしてきた。
髪、額、瞼…
目を瞑り、先程話した順に口付けをする三成に身を委ねる。


「ん…っ」


唇が耳に移動し軽く息を掛けられ、耳たぶを甘く噛まれた…
くすぐったくて瞼を開くと頬に口付けをする三成が目の前に…


「耳は誘惑で頬が親愛であったな」


「もしかして全部憶えたの?」


「当然だ」


唇を塞がれ舌を甘く絡める。
首の後ろから肩を抱く三成の左手に力を込められ更に密着する。


「…ん…っ…はぁ…」


厭らしい水音が耳を刺激し、息苦しさから涙が溢れ、頬を包む三成の右手に零れ落ちる。


「…鈴…」


涙に気付き唇がゆっくり離れる。
乱れた呼吸で瞼を開けると優しく涙を拭う三成に見惚れてしまう。


「喉は欲求で首筋は執着か……正に今の俺に相応しい言葉だな」


「何故…?
私はもう三成の女なのにまだ欲し求めるの?」


恋人として執着してくれるのは嬉しいが、欲求は複雑だった。


「足りぬ」


指で喉と首筋を撫で、唇を当てる三成の表情は分からない。


「身体も心を手に入れてもまだ足りぬ。
鈴を求める自分を抑える事も抑える術も知らぬ…否知りたくもない…
お前は違うのか?」


後ろに倒され、馬乗りで私を見下ろす三成の目を見つめては笑みを溢す。


「…私も一緒よ…
三成の全てが欲しいわ…」


手に入れた筈なのに欲求する…
恋とはこうも厄介なモノなのかしら…ね。
















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