戦国無双夢

□愛の確認
1ページ/1ページ









―スッコーン―









んー?
三成の部屋の襖を開けたら巻物が私の顔に直撃。
確か以前も同じような出来事があった気がするわ…
あー鼻血出てるし…


巻物を投げた三成と避けた左近さんの状況にも見覚えがあるし…


「っ!!何故お前は毎度毎度時機の悪い時に来るのだ!?」


「じゃあ三成は何故毎度毎度巻物を投げるの?」


懐紙を鼻に入れながら質問返しをする。


「…そ、それは…」


「どうせまた左近さんにからかわれたんでしょ?」


「おや?人聞きの悪い事を」


「事実でしょ?
で、今日はどうしたの?」


鼻血姿は過去に一度見られたからもう隠さずに居た。
気まずそうな顔の三成にデコピンをしながら座る。


「いえ、ただ鈴さんの事を少々」


「私?」


「鈴さんのどこを好きになったのか聞いただけです」


この主従二人は執務中に何を話してるんだ?
此処は会社の給湯室かよ、と内心突っ込む。


「で、三成の答えは?」


「巻物を投げられました」


「成る程」


チラッと三成を見ると滅茶苦茶不機嫌だった。


「主人虐めも程々に…」


「では、鈴さんは殿のどこに惚れたんですかい?」


標的を三成から私に変更してきた左近さんは終始楽しそうに笑っていた。


「三成の好きな所は……全部としか言い様が無いわ」


「これはまたやられましたね」


豪快に笑って部屋を出ていく左近さん。
天井を見上げてる為表情は分からないが多分機嫌良いだろう…


「相変わらず恋の話は苦手ね」


「…得意になれるか…」


小さく呟く三成は多分不貞腐れていると思う。


「…その…すまぬ。
…痛むか?」


「痛みは無いから気にしないで」


天井を見上げたまま目を瞑っていたら身体を引き寄せられそのまま膝枕をしてくれる。


「ふふっ…」


「何が可笑しい?」


「だって三成ちょっと泣きそう」


私を見下ろす三成の表情に私は笑ってしまった。


「三成のそういう所は特に好きよ」


「何を突然…!?」


「鼻血を出しただけでその有様なんだもの。
どれだけ私の事を好きなのよ」


赤く染まる頬に微笑んでは再び目を瞑る。


「お前こそ俺の何処が好きなのだ?」


「例えば…手貸して」


三成の手を取り指を交差するように握ると握り返される。


「こういう所が好き」


「……?」


「手を握ったらちゃんと握り返してくれる三成が好き。
どんなに仕事が忙しい時でも私を傍に置いて甘やかしてくれる所が好き。
仕事に余裕がある時は中断してまで抱き締めてくれる所が好き」


鼻血が止まったのを確認しては懐紙を取りながら身体を起こす。


「うん、止まったわ」


後ろを振り返ると真っ赤な三成に吹き出していた。


「三成も鼻血出そうな雰囲気ね」


冷ます様に熱を帯びた頬を両手で包む。


「っ…お前は恥ずかしげもなくそのような言葉を…!!」


「三成が言わないから私が言うの」


素直に言えない三成の代わりに私は言葉にして伝える。
それが私の愛の伝え方だ…


「失望したか…?」


「ううん、違うわ。
三成の愛は十分に伝わってるわ…言葉じゃなくて行動でね。
今言ったでしょ?
私が甘えたら受け止めてくれる三成が好きだって…
私にだけ優しい三成に凄く幸せを感じるわ…」


「………」


「三成に出会えた奇跡に感謝しないとね」


頬から首に腕を回し抱き付く。


「…俺だって同じ気持ちだ…
お前に出会えた事で愛する事を知った…
お前が居ない人生はもう考えられぬ…
お前が…鈴が傍に居てくれるなら俺は何も望まぬ…」


力一杯抱き締め返す三成に心が凄く満たされる。


「俺に出来る事が有れば言え。
お前の望みをどんな事でも叶えたい…」


…私の望み…か。


「望みと言うより我が儘に近いわよ?」


「言ってみろ」


一度顔を見合わし、耳元で小さく呟いた。







「一時も離れたくないの」













「叶えてくれる…?」


「容易い事だ」


自信たっぷりに笑う三成にどうやってと聞くと…



「互いに離さなければ良いだけだ。
もしお前が離れたくても俺が離さぬ限り常に一緒だ」


あ、嬉しくて涙が出そう…


「もう一個私の望みが増えたわ」


「何だ?」


「いつか私を三成のお嫁さんにして」


「なっ…!!?」


再び真っ赤になる三成に大笑いする。


「女がそんな事を言うな…!!
第一俺はそのつもりで…っ何でもない!!」


耳まで真っ赤になる三成だが、私も言葉の意味を理解して頬が熱くなるのが分かる。


「………」


「………」


気まずい…
互いに照れてて黙る時が一番困るわ…


「…鈴…」


「……?」


「…何時か迎えに行くから待ってろ…」


それは凄く小さく呟かれたプロポーズ。


「…なるべく早く来てね…?」


涙で視界が歪む中、精一杯の笑みを浮かべると優しく唇が重ねられた…

閉じた瞼から涙が流れ頬を伝うと三成は目元に唇当てては涙を拭う。


「………」


「………」


互いに見つめ合い再び唇を重ねては愛を確かめ合った…


息が切れる頃には視界が反転し、三成の先には天井が映っていたのだった…
























鼻血からプロポーズになってしまった…
甘ギャグを目指したのにただの甘々になりました。
次話で裏を書きます。
 

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ