テイルズ

□告白
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その言葉を聞いた時

頭の中が真っ白になって


気づいたら僕は走りだしていた






『告白』




それは今日寄った村での事



明日は山を越えるから……と早めに宿をとった



たまたま姉さんが食堂に忘れ物をして僕が届けに行った時に


姉さんの部屋から声が微かに聞こえてきた



「俺は……好きなんだ」


ロイドの声だ…
何で姉さんの部屋からという疑問よりも会話の内容が気になって動けなかった


「でも……」


姉さんの声だ…
僕の頭の中に嫌な予感がよぎった

「解ってる」


「それに………フエルフ……」


「そんなの…無い!…好き…だ」

「そう、わかったわ。好きになさい」

「ありがとう!先生!」

悪い予感は的中した


僕は気づいた時には宿を飛び出していた




走ってたどり着いたのは宿から少し離れた公園


昼間は子どもが遊んでいたがそこもこんな時間になると誰もいなかった




(ロイド…姉さんに告白してたんだよね…)

少し落ち着いて頭の中で先ほどの会話を思い出してみるが


頭の中に響くのは


「好きだ」


というロイドの言葉


夢だと思って頬を抓るが、その痛みから現実だ と言う事を実感させられる



夜の誰もいない公園の中で
僕はただ泣くことしかできなかった

それでもひとつ解ることは

それでも明日はやってきて

明日にはいつも通りにみんなと旅をしなくてはならない


そのことが…
ロイドの横で歩くのが…
今の僕にはただ辛かった


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