テイルズ

□キミとなら
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バチバチ
バチバチ



今日何度目かわからないため息は雨が屋根にあたる音にかき消されていった




『キミとなら』



道具の補給で立ち寄った町
買い出しは普通二人で行くのだが今日は荷物があまり多くないからとジーニアス一人できていた



(今日は晴れだと思ったのに…)

そんな思いをあざ笑うかのように雨足は強くなる一方


(行くしかないか)

宿まで約500m

覚悟を決めて最初の一歩を踏み出そうとしたとき
ここにいるはずのない少年が目の前にいた

「ジーニアス!」

「ロイド!?どうしたの?」

今日宿で休んでいるはずだったロイドが何故?どうして?

そんな考えばかり浮かんできた


「お前が出てって少しして雨降ってきただろ
確かお前傘持ってってなかったと思って迎えにきた!」

「あ、ありがとう…」

お前が風邪引いたら大変だしな

そう言って頭を強く撫でるロイドに頬を少し赤らめお礼を言った


「で、ロイド傘は?」

「え?傘はここに…」

ロイドの手にはたった今までさしていた一本の傘だけ

「馬鹿ロイド!一本じゃ意味ないでしょ!」

しばらく考えたあとロイドは閃いたように声をあげた


「一緒に入れば大丈夫だろ?」

「それは…そうだけど…」

ロイドの傘は小さくもないが大きくもない
そこに二人入れるか心配だし

何より恥ずかしかった

村にいた時は何回もやっていたが、親友から想い人に変わった今、その相合い傘という行為は嬉しい反面恥ずかしくもあるのだった


そんなジーニアスの思いに気付く訳もなく
ロイドは早く行こうぜ と手招きしている

「はぁ〜しょうがないなもぅ!」


一つの傘ので二人の少年は宿に向かって歩き始めた


















少し憂鬱になる雨の日も


あなたと一緒ならそれだけで


それは楽しい時間に
幸せな時間に変える事ができる


fin

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