あらよる

□雨の日の出会い
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今日はツイてない

学校では目の敵のように先生達に指され

曜日を間違えてシフト外の日にバイト先に向かってしまったり

挙げ句の果てに

「雨でやんすか」

見上げた空からは雨が降り始めてきた



バイト先からの帰宅途中

ポツリ、ポツリと頭に当たる冷たいもの

はぁ、とため息を一つ

家までもつかな、と甘い事を考えている間にも雨脚は強くなる一方

確かこのあたりに喫茶店があったはず……

とにかく雨宿りをするためにも自分の記憶を信じて走り出した


カラン、と音を起てて開く扉

「久しぶりだなガブ!たまにはこっちにも顔出せ!」

相変わらずの声が忙しそうな店内に響く

その様子に苦笑しつつ

「久しぶりでやんすねマスター、オイラもバイトで忙しいんでやんすよ」


この喫茶店は中学時代、授業をサボったりした時に良くお世話になった場所だ

もっとも高校生となった今は余り顔を出していなかったが‥‥


「結構繁盛してるみたいっすね」

空いてる席を探し、店内を見回しながら言う

「お客さんが入ってるからそう見えるんだよ、元々狭い店だしな
それに今日は雲行きが怪しかったし、雨宿り目当ての人も多いんだよ」

言われて見れば確かに傘を持ってない人が大半だった

「そうでやんすか……ところで席空いてやすか?」

「あぁ、ちょっと待ってろ。奥の席を見てくる」

そう言ってマスターは店の奥に消える

それとほぼ同時

後ろの方からカラン、と扉の開く音

振り向くとソコには両手にスーパーの袋をぶら下げた女の子

この子も雨宿りに来たのだろう

キョロキョロと辺りを見回してがっかりしたようにため息をついていた

良く見ると雨の中を来たのだろう、服は少し濡れていて……



ってオイラ何を見て!?こんなんじゃただの変態でやんすよ!!

と誰にするでもない言い訳を自分にしてポケットからハンカチを取り出した

「もし良かったらコレ使いやすか?」

女の子はキョトンとした顔でこっちを見上げていた



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