Story

□Special コ哀
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「灰原!」
「何よ」

哀ちゃんがコナン君に呼ばれて席を立ち、コナン君の立っている窓際に向かっていくのを歩美は目で追った。

「これ、見ろよ」
「なぁに?」

コナン君が自分の携帯を哀ちゃんに見せている。

「何よ。これ…」

哀ちゃんの口から笑みが零れた。コナン君の携帯を手に慣れたように扱う哀ちゃん。

「灰原さんって、江戸川君の携帯平気で見れるんだねぇ」
「え?」

横にいたクラスメートがボソッと言った。

「だって、人って誰でも知られたく無いものってあるでしょ?携帯って1番見られたくないよね。それが恋人でも」
「そうなのかなぁ」
「別にどうでもいいメールでもなんか見られたくないよ?」

確かに歩美も携帯って人に渡さないなぁ。

「……これ、あの時の?」
「そう。お前のに送ったやつの片割れ」
「どれ?」
「貸せよ」

コナン君は当たり前の様に哀ちゃんの携帯をいじり出した。

「…ほら、これ」
「ああ。これね。…何をやってんだか」

二人が顔を寄せ合って携帯を覗き込む。
そんな姿が特別で。
なんだかうらやましく感じてしまう。

いいなぁ。哀ちゃん。

哀ちゃんがいるからコナン君を諦める事しか出来なかったけど、好きな気持ちに変わりはない。

だから、二人の特別を見つけるとなんだか寂しくなってしまう。

昔の方がよかったなぁ。

もっと二人と近かった気がするなぁ。




「歩美ちゃん!」
「吉田さん!」





「え?」

二人が手招きをする。
歩美は首を傾げながら二人に寄っていくと、

「ほら、これ見て」

携帯を差し出した。
そこにはすごく変な顔をした平次お兄さんの姿。

「ぷっ。なにこれ?アハハ」

あまりにも変な顔に笑いが溢れた。

「だろ?で灰原のと合わせると…ほら」
「ヤダ〜アハハハハ」

コマ漫画の様な顔に笑いが止まらない。

「バカなんだから」

哀ちゃんは呆れた様に。

「バカだろ?」

コナン君は少し意地悪く。

「うん。すっごく!」

二人が顔を寄せて見てたものがこれだなんて。

なんか、少しほんの少しだけ救われた気がした。

歩美が席に戻った後にクラスメートの口から出た言葉は、

「二人には吉田さんが特別みたいね」

だった。
歩美はその言葉を聞いて心が熱くなった。

「私が二人の…特別?」



そうだったらいいな。


だって歩美にとっても二人は特別な存在だから。



これからもずっと。




だから二人にとっても歩美が特別でありますように。




END...

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