Story
□片恋 蘭→新→志
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「新一?久しぶりだね」
『蘭。久しぶりだな』
新一からの電話は何時も突然。
こっちからかけても出てくれないし、自分の都合の良いように電話してくるんだから。
「最近、忙しいの?」
『…まぁな』
そして何時からかな。
会話…ぎこちなくなったよね。
「今…何してるの?」
『…まぁ…色々…』
何も話してくれないのね。
こんなに待ってるのに。
「…ねぇ、新一…」
『なんだ?』
ドキドキする胸。鼓動が新一まで届いてないかな?
「新一には…好きな人…いる?」
『……あぁ』
今までなら…照れて言わなかったよね?好きな人がいるなんて。
なのに。
「どんな人?」
怖い。でも聞きたい。
『…意地っ張り』
「え?」
『素直じゃなくて、鈍感で意地っ張り』
それって…新一自身にそのまんま返ってくるよ?
『でも…悲しい奴。寂しくて寂しくて堪らないのに…素直になれなくて…一人で泣いてるんだ。そんなアイツを俺は笑わせてやりたいんだ』
私だって寂しいよ?
新一に会えなくて。
『…守ってやりたいんだ。俺の手で』
守って欲しいよ。私…強くなんかないから。
『アイツの世界には…俺しかいないんだ。だから…』
私の世界にも新一しかいないんだよ?
私だって…新一。
今の新一が語った事全部当てはまるんだから…。
『…ごめんな?』
その一言に含められた。
今、新一が語った『アイツ』が私じゃない事。
私以外の誰か。
「その人、今、新一の近くに…いる?」
私には何処にいるか教えてくれないのに…。
『…うん。近くにいる。だけど…アイツの心は遠い気がする…』
『アイツ』は新一の側にいて…。
でも新一の心に気付いてないんだね。
「…伝わるといいね」
『…ああ。…難しいけどな』
今までの自信満々の新一じゃない弱気な新一。
そんな新一。初めてだよ?
『じゃあ…そろそろ』
「うん。電話ありがとう」
『ああ』
通話が切れて私の瞳からは一筋涙が流れた。
こんな形で失恋しちゃうなんて…。
明日からどうしよう。
立ち直れるかな…。
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