ラスト
□プロローグ
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それは風の強い夜のことで、やたらと星が綺麗だったのを憶えている。
最初の爆発から、ものの数分で、教会は火の海と化した。
「――切断」
「やめろぉおお!!!」
彼女の左腕が赤い赤い血しぶきをあげて床に転がり、あっという間に炎に飲み込まれた。
「アリシア…ッ!!」
彼女にもう僕の声は聴こえない。
彼女自身の左腕とともに断ち切られた。
どうしようもなく立ちすくむ僕の額に血まみれの指先を向けると、彼女は微笑んだ。
「さよなら」
一瞬にして、僕の世界は暗闇に包まれた。
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