ラスト

□プロローグ
1ページ/1ページ


それは風の強い夜のことで、やたらと星が綺麗だったのを憶えている。


最初の爆発から、ものの数分で、教会は火の海と化した。


「――切断」
「やめろぉおお!!!」


彼女の左腕が赤い赤い血しぶきをあげて床に転がり、あっという間に炎に飲み込まれた。


「アリシア…ッ!!」


彼女にもう僕の声は聴こえない。
彼女自身の左腕とともに断ち切られた。


どうしようもなく立ちすくむ僕の額に血まみれの指先を向けると、彼女は微笑んだ。


「さよなら」


一瞬にして、僕の世界は暗闇に包まれた。



.
 

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ