ヘヴィ・デイズ

□第1話*can U xxxx me?
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手伝ってほしいんだけど。

――キャン・ユー・ヘルプ・ミー?

こう訊かれたら、「喜んで」と可能不可能関係なく、その人のために最善を尽くさねばならない。困っている人を見つけたら助けてあげる、というのは誰しもが子供の時から言われ続けていることだ。

さて、今――

俺に向かって、手伝ってほしいと口にしたのは、どう見ても困っていなさそうなお兄さん。とびきりの笑顔で俺が「はい」と答えるのを待っている。

事実、今この場に「はい」以外の答えは用意されていない。

しかし、俺には即答できない理由がある。

なぜ、って。
それは、時間がないからでも道徳教育の失敗でも、もちろん俺がひねくれているからでもない。

お兄さんの手には日本刀。
切っ先は、俺の鼻先。

――これ以上の説明は必要だろうか。

どう見ても、誰の目からしても、この状況での「手伝ってほしいんだけど」は悪質な脅迫以外の何物でもない。

本来、この場で正しいのは――

ヘルプ・ミー

と俺が命乞いすることだろう――!

どうしてこんなことになってしまったのか。

事の始まりは、つい15分ほど前に遡る。



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