ヘヴィ・デイズ
□第2話*ドライブ
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「聞いてる?」
ツ―…ツ―…ツ―……
溜め息が出た。
まだ話の途中だっていうのに。気が短いというか何というか。
しばらく携帯を耳に当てたまま、車に寄りかかっていたが、無感情な電子音が俺の問いかけに答えてくれるはずもない。俺は諦めて車に乗り込み携帯を助手席に放った。
「…どうだった?」
後部座席から投げ掛けられた質問に、どう返そうか少し迷いながら、
「うーん、半分良くて半分微妙」
どっちがどっちとは言わずに答えると、彼女はどう受け取ったのか、深刻そうに「…そう」と呟いた。まあ、どちらにせよ深刻な問題であることに変わりはないのだが。
「そっちはどう?」
「…相変わらず」
ちょっとだけ後ろを振り返って確かめてみる。うん、相変わらず。こっちは問題無さそうだ。
「取りあえずは亜鶴沙の方を片付けなくちゃね。やだなぁ、ハイキック一発で済むと思う?」
「…どうかしら。二発ってところじゃない?」
「うっわぁ、考えただけで身体中が痛くなる…」
身震いをして、今日はピンヒールを履いていないことを祈る。アレをまともに喰らったらまず確実に刺さるそして死ぬ。
…うん。なんだか笑えてきた。