ヘヴィ・デイズ
□第3話*K or D
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「ここ、ですか?」
流柳は車を停めると、さあ降りて、と困惑する俺を促した。
まず君を紹介しなくちゃいけない人がいる、と言われて連れてこられた場所は、俺が一人勝手に想像していた薄暗いビルでも怪しげなバーでもなんでもなく、繁華街から少し離れた通りにひっそりと佇む古びた喫茶店だった。
車を降りて、しげしげとその喫茶店を眺める。時間が時間だし、閉店しているようで中に人がいる気配はない。見る限り、何の変哲もないレンガ造りのちょっと洒落た雰囲気の店だ。
どう見ても殺し屋のアジト、っていう感じではない。
なんだかますます胡散臭くなってきた。もしかしたら、これって新手の宗教勧誘とか悪質商法とかかもしれない。
…俺、騙されてる?
「3階よ。向こうから」
どうしよう変なもの売りつけられたら、と憂鬱になっていると、700が建物の脇の階段をすっと指差して言った。
なるほど上の階があったのか。