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□椚ヶ丘中学校 3年E組の七夕
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「殺せんせーは何か願い事とかある?」

放課後、唐突に聞かれた殺せんせーはハイ、と手渡された短冊を見てあぁ、と納得した顔になった。

「そう言えば、もうすぐ七夕でしたね」

「そうそう!せっかくだからクラスのみんなで校庭に笹を用意したんだけど、殺せんせーも一緒にどう?」

満面の笑みで刺し殺そうとする茅野のナイフを軽くいなしながら、殺せんせーはサラサラッと短冊に願い事を書くと、頷いて立ち上がった。

「良いですねぇ、行きましょう」


校庭のど真ん中にでんっと置かれ、飾り付けられた巨大な笹を見て、殺せんせーは(多分)目を丸くした。

「随分と立派な物を用意しましたねぇ…」

「みんなで協力してあそこまで運んだんだよ。殺せんせーは背が高いから一番上ね!」

呆れる(様に見える)殺せんせーを早く早くと急かしながら茅野が聞いた。

「そう言えば、殺せんせーはお願い事は何書いたの?」

「それはもちろん、皆さんも知っての通り『来年の3月に地球を爆ります』ですよ」

「それお願い事じゃなくて、ただの宣言じゃないですか」

そう言いながら、殺せんせーが短冊を笹のてっぺんに結びつけようとした所を見計らって、茅野が静かに後ろに下がる。

その瞬間、物陰から飛び出したみんなと一緒に僕は殺せんせーにありったけの弾をお見舞いした。

作業に意識が向いている時に突然の全方位からの一斉射撃。今度こそ殺れたと思った。しかし―

「アイデア自体は良いですが、まだまだ合格点には届きませんよ」

何事もなかったかの様に、殺せんせーは空から「笹ごと」着地した。

「おい、嘘だろ…」

「あの笹、三m超えしてたろ?」

「何百sだって話だよな…」

驚愕と絶望の声が満ちる中、殺せんせーはいつもの様に問題点を挙げていた。

「まず、置く位置がよろしくありません。こんな怪しい所にあっては、罠がある事を疑って下さいと言っている様なものでしょう?せめてもう少しありふれた場所か、狭くて身動きのとりづらい所に設置しなくては。次に―」

ビシッと殺せんせーの触手が速水を指した。

「速水さん、君は短冊に『殺せんせーが早く死にますように』と書きましたね?」

「えぇ!あたし!?」

次々に殺せんせーがみんなを指して行く。

「中村君も片岡君も原さんも…皆さん同じ願い事ばかりです。先生を殺したければ、願い事に頼らずに自分から行動しなければ。それに比べると―」
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