Novel Of Song

□花が散るとき
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約束の時間
でも君の姿はない
代わりに来たのは、光一。

「…剛」

無意味な場所にいるのは
弱い僕。
それと相方。
待ち望む、君の姿はない。

一枚の封筒を手渡された。

表には僕の名前。
裏には君の名前。

『ごめんなさい』の六文字

『さようなら』の五文字

『ありがとう』の滲んだ文字

「わかっとるつもりやったけど、やっぱ」

無様な自分。

そもそも
僕と君が一緒にいようと
思うほうが
願うほうが
馬鹿なことやった

君が来ないことはなんとなくわかっとった。
でも好きやから
愛しとるから
一緒にいたいと思うた

叶うかもしれん時。

現実をつきつけられた。
僕の考えは夢物語にしかないんだと改めて思いしらされた。


愛しとるから、僕はなんでもする。
せやから、


「剛、つらいやろうけど、仕事…行くで」
「…ああ」


簡素な部屋に唯一の色。
花瓶に刺さる花が散った。

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