Novel Of Song

□せつな
1ページ/7ページ

いつか、必ず知られてしまう。
そうと知っていながら私は尚も傍にいる。
離れることが出来ない。
怖い。
『知られることが?』
『離れることが?』
どちらも、怖い。
でもそれ以上に怖いのは、
その後の自分の姿。

隣で眠る彼。
眠れない私。
ねぇ、今どんな夢を見ているの?
そこに、私は出てくるかしら…
平和な時代に私は夢を見ることもせず、月を眺める。
いえ、私は夢を見てはいけない。
夢を見るのは…

荒れきった街の片隅で私は彼と肩を寄せ合い、熱を交わした。
彼の唇が触れた頬が、熱い。
「大丈夫だよ」
その言葉。私は忘れない。

重い、重い闇。
きれいな世界の後ろには闇がある。
そこに住んでいるのが私。
誰にも知られないようにこの闇に融けて暮らしていた。
そこから私を連れ出したのは彼。とても大切な彼。
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ