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□もさっと
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「ねぇ、ゆんゆん。あの白くてモサッとしてる人の髪って自毛なの?」

 遊庵宅にいたほたるが唐突に質問をしてきた。

「あぁ、吹雪のことか。そりゃもちろんヅラだろ」

 即答する遊庵である。

「誰がヅラだと言っているのだ?遊庵」

「!!!」

「あ、ヅラの人」

 突如背後から現れた吹雪に本気でびびった様子の遊庵。

「・・・吹雪っ!いきなり出てくんじゃねーよ!!第一ここは俺の家のはずだぜ?勝手に入ってくるな!!!」

「それはすまない。一応挨拶はしたつもりだったんだが、聞こえなかったか。ところで、誰がヅラだといったのだ?」

「・・・・・な・・何の話しかわかんねぇな?別にそんな話してねぇしよ」

「ほほぉ」

 弁解している遊庵の額には冷や汗が浮かんでいた。それはそだろう。当の本人に聞かれてしまい、誤魔化しようのない状況に陥っている。
 一方、問い詰めているほうの吹雪はというと表情は変わらないが、発しているオーラが違う。なんともいえぬ黒っぽいオーラが見えるようだった。

「・・・白くてモサッとした人がヅラかどうかの話」

「バカ・・・螢惑っ!!・・・・・・・・・・・げっ!!!」

 二人の様子をそれまでおとなしく見ていたほたるがいきなり発言をした。
慌てた遊庵はほたるを怒るが、それが完璧な致命傷となった。吹雪は遊庵に詰め寄る。

「ほぉ。白くてモサッとした人とはオレ以外に当てはまるものがいない様に思えるのだが?どういうことだ遊庵」

「だーっ!!近寄るな!!あーそうだよっ。お前がヅラかどうかの話だよ!!!」

 これ以上誤魔化せないと思った遊庵は開き直り、吹雪につっかかる。

「開き直るとはいい度胸だな。オレの自慢の髪をヅラというのはどういうことだ遊庵よ」

「ヅラに見えんだよ!お前のその異常な髪の量とか、常にモサモサ揺れてるとことか、中で猫飼ってるとことか(!?)が!!ありえねーっつーの!!!」

「くっ!!オレの髪をバカにするとは!!!(←事実なため言い返せない)そういう貴様こそ、その異様に長いはちまきはなんだっ!!!そんなに長くては後ろにいる者が迷惑ではないか!!!」

「はっ!テメーのモッサリヘアーの方がよっぽど迷惑だっつーの!!後ろに立ってみろ!!前なんかその髪で見えねーうえに、テメーが振り返れば髪が攻撃してくんだよ!!!」

「それくらい避けられねば壬生の戦士とは言えぬ!!それともあれか?本当はこの髪が羨ましいのだろう?」

「ヅラが羨ましいわけねーだろ!!!」

「だからヅラではないと言っている!!!れっきとした自毛だ!!!」

 結局、二人の言い争いは次の日まで続いたという。ほたるはというと、二人が言い争いをしている間に部屋を抜け出し、出会う人出会う人に「吹雪がヅラだ」ということを言って回ったとか。
 そのおかげで壬生の中で吹雪がヅラだということが一般常識となったらしい・・・・・・

                   END

 

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