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□血潮
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僕は今、何のために生きてるのかな?

今までは真田が天下を取るために、みんなと共に戦っていたんだ。

…けど、本当は違ってたんだね。

僕は、君がいたから生きていたんだ。

君と共に生きていたくて生きていたんだ……。
いつもその小さい体で僕を守って、強がって。
だけど、本当はそんなに強くはない、弱い君もいた。
君は隠していたけど、僕はそんな君の全てが好きだったのに。
いつも僕の隣で話をしていた君は、もう今はいない。



この前の戦で、もう大丈夫だろうと少し気を抜いたときに、背後から敵が斬りつけてきた。
気づいた時にはもう、避けることも受けることもできなくて。

でも、僕が斬られる事はなかった。

君が、僕を庇ってくれたから。

だけど、君の小さな体は傷から溢れてきたモノで、真っ赤に染まっていた。
誰の目から見ても手遅れなのは明らかだった。
僕は、君を抱えた。

僕にはそんなことしか出来なかったから。

ごめんね?

人一人守ることが出来ない僕で。

こんな何も出来ない僕で。

僕が謝ると君は、

「気に・・するな。俺がやり・・・たくてやった事なん・・・だよ。お前が悪い・・・わけでも、誰が悪いわけでもな・・い。後悔・・・もしてない。だから・・・お前は前を向いて・・・進んで行けよ。ぜっ・・・た・・い生・・・・き・・ろ。幸村・・・・・・」

言い終えた瞬間、君の体から力が抜けた。

君を抱えていた僕の腕は、いつの間にか真っ赤に染まっていて、僕たちの下には血の海が広がっていた。

そこには君を抱える僕と、動かなくなった君が写っていた・・・。




あれから何日か経ったけど、僕はあの日の君の”赤”が頭から離れないんだよ。
本当に大切なものは、失くしてから気づくって本当だったんだ。

僕は一人、いなくなってしまった君の事を考えながら適当に歩いてた。
そうしたら突然、胸の辺りを激しい衝撃と痛みが襲って。
一瞬遅れて、誰かに刺されたと気づいた。

振り返ろうとしても力が入らなくて、僕はその場にくずれるように倒れこんだ。

急激に、視界が狭くなって。

でも、死ぬことは怖くもないし、別にやり残した事もないからいいかなって思った。

それに、そっちには君もいるしね?



完全な闇が僕のことを支配した時、遠くのほうから声が聞こえた。

聞きたかった君の声。

「生きろって言っただろ!!何死んでんだよっ!!全く、しょうがない奴だな。俺がいねーと何にも出来ねーんだから」

でも、僕には君が必要だから。
それに、なんだかんだ言って君は僕のこと、本当に心配してくれて。

「あはは、サスケ〜。あれは不可抗力なんだから怒らないでよ」

「不可抗力?ふざけんな!!お前は一人しかいねーんだぞ?簡単に死ぬな!!!」

「それは、サスケにも言えることだよね〜。それに、しっかり迎えに来てくれたしvvvこれからはずっと一緒だよ?サスケ」

「・・・・・あぁ、そうだな幸村」

そう。これからはずっと一緒にいようよ。
もう離れない。
二度と、大切なモノは離さない。
そして僕はサスケと共に歩きだす。
歩き出してから後ろを振り返ると、僕がいた場所には、あの日と同じように真っ赤な海が広がっていた。

そして唐突に思った。



あぁ。
きっと、僕が生きていた意味は君と出会うことだったんだって。


                        

END

 

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