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□雨
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「雨・・・・・か」

 サスケは外の景色を見ながらポツリと呟いた。
 そして思い出す。
 幸村に助けられた日も今日のように雨が降っていたなと。

 あの時のサスケには、幸村が太陽に見えた。
 雲間から少し覗き、眩し過ぎぬよう優しくその光を降り注ぐとても優しい太陽に。
 それは今でも変わっていない。
 でも、幸村と一緒にいるようになって気付いたのは彼は独りで抱え込む癖があるということだった。

 だから、彼は時々痛みを抱えた顔で笑う時がある。
 サスケには何故幸村がそんな顔をしてまでも笑おうとするのかが分からない。

 笑えないのなら無理に笑おうとしようとしなくてもいいとサスケは思う。

 でも、あれは幸村なりに周りに気を使ってやっていることなんだと思う。
 誰にも心配掛けないようにと。


 しかし、サスケとしてはそんな風に無理をするのならば、少しでもいいから自分に話してほしいと思う。
 そうすれば、少しは幸村に無理をさせる事が少なくなるかもしれないのに。
 幸村には無理をしてほしくないし、独りになってもほしくない。
 これは自分の我侭かもしれないが、自分を頼ってほしい。


力になりたい。

支えになりたい。

そう、思う。

でも・・・・・






「サ〜スケ!何そんな難しい顔してるの?ほら!雨も上がったんだからちょっと外散歩しに行かない?」

「・・・・・あぁ」

「ほら早く!置いてくよっ!?」

「今行くよ!!!」

 俺は幸村、お前から何かを言ってくれる日まで待っていようと思う。
 だから、俺は自分からそんなことは言わない代わりに、その気持ちを態度で表す。





 いつか話してくれる日が訪れると信じて。


 雨が上がった空には、太陽が優しく輝いていた。







END

 

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